研究課題/領域番号 |
24601008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 助教 (30444235)
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研究分担者 |
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
花岡 宏史 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50361390)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子イメージング / SPECT / PET / 核医学 / 脳機能 / 腎機能 / 画像解析 / 小動物イメージング |
研究概要 |
本研究では,分子イメージング法を更に普及させるために小動物用の単光子放出断層撮像法(SPECT)イメージングにおける定量測定法の確立を目的としている.この小動物用SPECTは,分子イメージング法の中で最も高い定量性を有する陽電子放出断層撮像法(PET)と比べて,定量性,時間分解能や感度が劣っているが,近年,臨床検査用のSPECTで主流となっているNaI(Tl)検出器の代わりに,エネルギー分解能や空間分解能に優れる半導体検出器を搭載することで前述の弱点克服を目指した小動物用SPECT装置の開発が全世界的に進められている.本邦では,千葉大学に,テルル化亜鉛カドミウム半導体検出器を4機搭載したSPECTとX線コンピュータ断層撮影法(CT)の複合機である小動物用SPECT/CT装置FX-3200(GMI社製)が導入された.この装置では,感度を向上させるパラレルコリメータや,高分解能を実現するピンホールコリメータを選択可能である.しかし,この装置に関する性能評価の報告はなく,小動物用SPECTイメージングに必須のコリメータの検討は行われていない.したがって,小動物用SPECTの定量測定法の確立を目指し,今年度は,FX-3200に装着可能なピンホールとパラレルコリメータを用いて,その性能評価を行った. その結果,ピンホールコリメータはパラレルコリメータと比較し,感度は劣るものの,約10倍程度の高分解能な画像が得られたため,高放射能を使用可能な既存の放射性薬剤を使用する場合はピンホールコリメータを使用し,新規放射性薬剤などあまり高い放射能を使用できない場合にはパラレルコリメータを使用するなど,実験状況によってコリメータを変更する必要性を確認できた.この研究内容は分子イメージング研究の国際論文誌に掲載が決定しているため,当初の計画よりも早く研究が進んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度から共同研究先である千葉大学と実験を開始したが,既に国際論文誌に我々の研究グループの論文が一報採択されている.これは非常に順調に研究が進んでいる証拠であり,来年度以降の研究の進展も期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を踏まえ,次年度は,更なる小動物用SPECTイメージングの定量性向上のために,減弱・散乱線・部分容積効果などの補正法の最適化および新しいコリメータの開発に取り組みたいと思っている.しかし,これまで使用してきた千葉大学の小動物用SPECTイメージング装置では,これらの補正法を画像再構成時に組み込むことができないため,本大学の共同研究先である財団法人先端医学薬学研究センターに設置されている小動物用SPECT/CT装置eXplore speCZT CT120(GE Healthcare社製)を使用して実験を行う予定である.この装置では,上記の補正法を使用可能であるため,この装置で上記の補正法の最適化を試みた後に,千葉大学が有する装置において可能な新たな補正法を考案する.これらの研究の前に千葉大学の小動物用イメージング装置FX-3200とeXplore speCZT CT120の性能の違いを把握する必要があり,現在eXplore speCZT CT120の性能評価を検討している. 次年度以降は,上記の性能評価や補正法の検討後に,マウスやラットの脳や腎臓といった各臓器における定量測定法の確立を試みる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費に関して,本研究は共同研究先である千葉大学や財団法人先端医学薬学研究センターに出向いて研究を行うとともに,本研究のアドバイスをもらうため,分子イメージング研究を得意としている福井大学高エネルギー医学研究センターや世界的に著名な米国国立衛生研究所のスタッフにも研究のアドバイスを受けるつもりである.また,本研究成果を国際学会で発表するために,既に我々の研究領域で最も権威のある米国核医学会で本研究内容が採択されていることもあり,旅費に多くの研究費を使用する予定である.また,物品費に関しては,本研究に必須の放射性イメージング薬剤および阻害剤といった試薬等と,マウスやラットといった動物の購入に使用する.人件費として,本学の大学院生とともに研究を推進しているため,この学生に謝金を支払う予定である.更に,本研究成果を論文にまとめるため,この論文の英語校正料や投稿料も必要である.
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