研究課題/領域番号 |
24601008
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 正和 金沢大学, 保健学系, 助教 (30444235)
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研究分担者 |
川井 恵一 金沢大学, 保健学系, 教授 (30204663)
花岡 宏史 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50361390)
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キーワード | 核医学 / 分子イメージング / SPECT / PET / 半導体検出器 / 小動物イメージング / 定量測定 |
研究概要 |
本研究では,近年目覚ましく発展している核医学分子イメージング法のうち,小動物用の単光子放出断層撮像法(SPECT)における定量測定法の確立を目的としている。このイメージング法にはSPECTのみならず,陽電子放出断層撮像法(PET)もあり,ヒトの臨床検査では既に両手法とも定量測定法の確立に関する様々な検討が行われている。しかし,小動物用においては臨床検査ほど検討が行われていない。特に,SPECTでは,その核種の性質上,PETよりも定量性を向上させることが困難である。今年度は,米国において小動物用PETにおける各補正等の定量測定技術と画像解析法を習得した後、それを小動物用SPECTに応用することを試みた。補正法には,主に減弱補正法,散乱線補正法や部分容積効果補正法があり,特に減弱補正法と散乱線補正法に着目して研究を行った。本研究には,財団法人先端医学薬学研究センターに設置されているコンピューター断層撮像装置(CT)搭載型の小動物用SPECT/CT装置eXplore speCZT120を使用した。この装置にはエネルギー分解能や空間分解能に優れている半導体検出器が搭載されており,臨床機と同様な様々な補正等も組み込まれている。各補正法の検討を行う前に,この装置の性能評価を行った結果,空間分解能は従来の装置よりも若干劣っているもののエネルギー分解能は非常に優れていることが分かり,既に国際論文誌に採択された(Matsunari I., Ann Nucl Med, 2014, In press)。その後,各補正法の効果も検討した結果,CTを用いた減弱補正法により,円筒型ファントム中心部の放射能カウントを約10%向上することができた。散乱線補正には,Triple-Energy-Window法を用いたところ,散乱線の影響を減少することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度から,財団法人先端医学薬学研究センターに設置されているGE Healthcare社製小動物用SPECT/CT装置eXplore speCZT CT120を用いて研究を開始した。最初に,この装置の性能を把握するため感度、空間分解能、総合均一性といったパラメータを測定し,国際論文誌に既に採択された (Matsunari I., Ann Nucl Med, 2014, In press)。また,米国で受けたPETの研修において学んだ定量測定技術等を本邦の小動物用PETや小動物用SPECTに応用させることを試みた。その結果,小動物用PETにおける各PET核種の特徴等をまとめた研究も国際論文誌に採択された(Miyazaki Y., et al, Ann Nucl Med, 2014, In press).今後は,小動物SPECTの定量性を小動物用PETの結果を基に評価する。このように,学術論文が出始めていることから,本研究はおおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を踏まえ,小動物SPECTイメージングの更なる高分解能な画像と定量測定法の確立のために,次年度は新しいコリメータの開発に取り組みたいと思っている。これらのコリメータには,ピンホール型を使用し,ピンホールのピンの径の大きさやピン数の最適化をコンピュータ等でシミュレーションを行い,実際の開発を装置の販売会社と共同で行いたいと考えている。従来のコリメータと新しく開発したコリメータを比較し,新しいコリメータの有用性を評価した後に,マウスやラットの脳や腎臓等の各臓器における定量測定法の確立を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,米国において小動物PETイメージング法における定量測定技術や解析法に関する研修を受けた。その期間中には,研究費を使用する必要がなかったために数十万円の研究費を次年度に持ち越すことになった。 本年度は、昨年度の未使用額も合わせて、小動物SPECTイメージングにおける定量測定法の確立を目指し、研究の総括に入るつもりである。共同研究先である米国国立衛生研究所,千葉大学や財団法人先端医学薬学研究センターにおいて使用する物品費,本学と各施設への旅費や大学院生と技術補佐員等への謝金等に研究費を主に使用する予定である。また,これまでの研究内容をまとめた論文を国際論文誌に投稿するための英文校正料や投稿料も本研究費から捻出するつもりである。
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