研究実績の概要 |
本研究では、分子イメージング法を更に普及させるために、小動物用の単光子放出断層撮像法(SPECT)イメージングにおける定量測定法の確立を目的としている。昨年度までの研究成果を基に、今年度はGE社製のSPECT/CT装置eXplore speCZT120を用いて更なる定量性向上に取り組んだ。 SPECTでは、コリメータの性能が画質と定量性に大きく関わるため、この装置に使用可能な新しいコリメータの開発に取り組んだ。昨年度の研究実績として、GE社が製造した従来のコリメータのうち、ピンホールコリメータがスリッドコリメータよりも高い分解能な画像が得られることが分かったが、このコリメータでは、感度が非常に低いという問題があり、臨床検査と同程度の放射能を有する放射性医薬品を、小動物に投与しなければならなかった。この状態では、本研究の実施が困難であると思われたため、今年度は低放射能で十分な画像が得られる新しいピンホールコリメータの開発を試みた。ピンホールのピンの径の大きさやピン数の最適化を製造会社とともに設計した結果、ラット用ピンホールコリメータでは直径1.5mmの5穴とし、マウス用ピンホールコリメータでは直径1.5mmの8穴に設定することに決定した。これらのコリメータを使った性能評価を行ったところ、従来のコリメータよりもそれぞれ2-3倍感度が向上した。また、分解能に関しても、小動物の研究に十分な分解能を維持しており、投与放射能も1/2-1/3減らすことに成功するとともに、定量性も確保されていた(Mizutani A, EJNMMI Physics, 2015)。さらに、小動物イメージング研究から得た知見を基に、臨床イメージングの画質向上に取り組んだ結果、放射性ヨウ素-131イメージングの画質向上にも成功した(Kobayashi M, Ann Nucl Med, 2014)。
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