研究課題/領域番号 |
24601011
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
島雄 大介 福島県立医科大学, 先端臨床研究センター, 講師 (20404907)
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キーワード | 放射線 / 散乱イメージング |
研究概要 |
平成24年度中に動作が不安定となった透過型アナライザを廃棄し、新たなものを設計し作製することとした。昨年度の実施状況報告書に記載した通り、シリコン結晶の厚板の中央部を薄板状に手研磨した枠付きアナライザを設計し、自作した。メカノケミカル研磨が不可能なため、エッチング処理のみで使用することとした。平成25年度は春・秋・冬の3回のマシンタイムが配分される予定であった。この透過型アナライザの動作チェックを平成25年度最初の春のマシンタイムで行う予定であったが、放射光ビームが不安定であったため実施できなかった。そのため、引き続き平成25年度2回目の秋のマシンタイムも新たに作製した透過型アナライザの動作チェックに費やすこととした。このマシンタイム期間中は比較的安定した放射光ビームが得られ、この透過型アナライザの動作チェックを実施することが出来た。アナライザ部は手研磨であるためどうしても厚さ斑が残ってしまう。これをこのまま屈折コントラスト画像法に利用するには問題があるが、本研究課題で目指す極小角散乱イメージングではアナライザの厚さ斑が影響しないのが特徴である。むしろアナライザの角度位置がズレていくドリフトの方が極小角散乱イメージングでは致命的である。これまでの薄板のみのアナライザで頻発していたドリフトが、今回作製した枠付きアナライザで解消されることがこの動作チェック実験により明らかとなった。平成25年度最終である冬のマシンタイムにて、この新規のアナライザによる撮影実験を予定していたが、電力高騰により全マシンタイムの削減が実施され、その煽りで冬のマシンタイムが不配分となった。その結果、平成25年度は新規の透過型アナライザの作製とその動作チェックで終了することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度に3回配分される予定であったマシンタイムが2回となった。また、初回のマシンタイムでは放射光ビームが不安定であったため予定していた実験が遂行できなかったことで実質1回のみのマシンタイムとなり、予定していた項目が未消化となっている。ただし、新規の透過型アナライザが完成してその動作も良好であるため、次年度は撮影実験を進められる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
電力高騰による全マシンタイムの削減が進む中、例年になくマシンタイムの確保が難しくなってきている。平成25年度は実質年1回のマシンタイム配分となってしまった。この傾向は今後も続くものと見込まれる。新規のアナライザが完成したため、マシンタイムが配分されれば確実に撮影実験を行うことが出来る。しかし、マシンタイムの削減のみならず、シンクロトロンの不調などで実験ができない事態への対応も考えておかなければならない。次年度は、放射光だけでなく実験室X線でもある程度の実験ができるような対策をとる必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
X線CCDカメラの購入を予定していたが、昨年度に引き続き、放射光施設の使用ビームラインに設置された共用品を利用することができた。このため、平成25年度はX線CCDカメラの購入は見送った。これにより、次年度使用額が生じた。 次年度も引き続き、共用のX線CCDカメラの利用が可能の予定である。ビームライン付随の共用品の状況を勘案して、実験室X線での実験の可能性も考慮しつつ、自前の自動回転ステージやこれらを設置する除震台の購入に振替る予定である。
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