研究実績の概要 |
当該年度は、①昨年度まで作製および改良してきたポリマーゲル線量計(ゲル線量計)評価用光断層装置およびシステムによる線量評価と、②MRIを用いたスピン-スピン緩和速度(R2)測定によるゲル線量評価法との比較検討を行った。その際に検討事項として[a.不均一ゲル試料を用いた比較検討]および[b.線量応答性に関する比較検討]を実施した。 [a.]PAGATゲル線量計を作製し、ゲル線量計に対して放射線治療装置で照射実験を実施した。ビームを絞り放射線照射することでゲル線量計の半分が照射、もう半分が未照射となるようなゲル線量計試料を作製した。作製後試料を光断層装置に配置し、レーザー光で走査し測定データを取得し、測定データを装置に接続してあるPC上でフィルタ補正逆投影法を実施し、ゲル線量計の断層像を取得した。取得した断層像は視覚的評価と一致し、半分が照射、半分が未照射の断面像が得られた。次にMRI装置を用いて、幾何学的に同じ位置のゲル線量計R2画像を取得した。ゲル線量計のR2画像は光断層システムによって得られた再構成像とほぼ一致した像となった。 [b.]ゲル線量計サンプルを複数個作製準備し、10MV-X線ビームにてゲル線量計の中心がそれぞれ1,2,3,4,5Gyとなるよう放射線照射した。未照射のゲル線量計および1-5Gy照射したゲル線量計について、光断層システムを用いて再構成像を作成し、画像中の関心領域の画素値測定から放射線量と画素値との応答性を確認した。光断層システムから得られた結果は線量増加ともに画素値が高くなる傾向が得られた。しかしながら、同じ試料をR2測定した結果と比較して、光断層システムから得られた線量応答特性を示す近似直線の相関関係は低い値を示した。
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