研究課題/領域番号 |
24601013
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
歳藤 利行 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30377965)
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キーワード | 強度変調陽子線治療 |
研究概要 |
前年度に作成したファイバーブロック検出器を用いて、陽子線の照射実験を行った。 回転駆動は治療用ベッドの回転を利用し、3次元線量分布測定を目的として-90°から+90°まで30°ごとに角度を変えて全7角度からの回転照射を行った。ビームは名古屋陽子線治療センターの治療用陽子線ビームを使用し、マルチリーフコリメータおよびボーラスを装着したブロードビーム照射野を形成した。簡易的な解析プログラムを作成し、測定データから線量の投影積分値を算出し、さらに治療計画装置の計算にも同様の処理を行い、両者を比較した。 測定データと計算結果はよく一致しており、その結果を第106回日本医学物理学会学術大会にて「陽子線ビームの3次元線量分布測定のためのシンチレーティングファイバー検出器」というタイトルで口頭発表した。飛程の末端付近の分布に不一致がみられ、測定値の方がぼやける傾向が見られた。ファイバー検出器の構造が原因であると考えている。 さらに検出器中の線量分布を検出器の構造を考慮しながらモンテカルロシミュレーションの手法で計算するためのプログラムの開発に着手した。そのためにGeant4モンテカルロシミュレーションツールキットを利用した。現在、ブロードビーム用およびスキャニング用の両方のノズル中のジオメトリーの構築まで完了しており、水ファントム中の測定結果とよく一致していることを確認した。モンテカルロシミュレーションの計算を使うことで測定値との詳細な比較が可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり回転条件での照射まで完了しており。おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である、3次元線量分布再構成プログラムを開発する。名古屋陽子線治療センターでは2014年1月よりスポットスキャニング照射の治療が開始され、将来の強度変調陽子線治療(IMPT)の実現に向けて整備がすすんでいる。開発したシステムをIMPTの品質保証に用いることを想定した条件での照射実験と解析をすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に平成25年度に予定していた予算金額50万円の回転駆動装置を作成しなかったため、当該助成金が生じた。照射実験は治療用ベッドの回転機構を利用してすすめた。照射実験の結果を踏まえて回転駆動装置の仕様を検討している。 回転駆動装置を作成すること、および成果発表のための旅費として使用する。
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