研究課題/領域番号 |
24601021
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中野 厚史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (90217787)
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キーワード | 酸化LDL / 動脈硬化 / 小動物イメージング / 画像診断 |
研究概要 |
循環血液中の酸化LDLは、肝臓で急速にクリアランスされ、血中からは分単位で消失すると古くから言われてきた。昨年度開発した高比放射能の[123I]oxLDLの標識法と最新の超高解像度SPECTを使用して、マウス全身の酸化LDL分布のイメージングを行った結果、肝臓以外の組織での代謝が以外なほど多いことを見出した。これをヒントに動脈硬化を抑制する新しいメカニズムに迫っている。 これまで酸化LDLを動脈硬化の諸悪の根源として、酸化LDLがどの様に体内で生成されるのか?どの様にしてできなくするかの研究が中心に行われてきた。しかし、抗酸化剤に代表されるこうした試みは決してうまくいっていない。酸化LDLの血中クリアランスが非常に速いことからも判るように、正常な生体においてはこのような異物の発生を前提とした、異物除去能力が非常に高度に備わっている。従って、このような除去能力にもかかわらず、血中変性LDL濃度上昇が発生してくることが、恒常性破綻が起きていることを示している。 このように考えると超高解像度SPECTにより検出された諸臓器は変性LDL除去に非常に妥当な役割を有していることが容易に想定された。既に、これら臓器での取り込みに関わる分子を同定し、ノックアウトマウスを用いて上記組織への取込が完全に抑制されることをイメージングで明らかにしている。今後これら臓器機能と動脈硬化抑制機能の直接的な繋がりを生理学的な実験より証明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
血中からの酸化LDLを除去する臓器としては、これまで肝臓であると考えられてきたが、それ以外に複数の臓器がそれに関わっていることが超高解像度SPECTイメージングにより示すことができた。 また、これら臓器での酸化LDLを取込む分子を同定し、ノックアウトマウスのSPECTイメージングによってこれら組織への取込が完全に抑制させることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
超高解像度SPECTにより新たに集積がみつかった組織は大きく分けて2種類あり、臓器分布により定量的に検証を行った。1つは、集積密度(%ID/g)が肝臓並みに高いが非常に小さな組織であり、もう一つは%ID/gは低いものの、全身に存在する組織であった。 共に、様々な研究がおこなわれている組織ではあるが、動脈硬化との関係は全く報告されておらず、今後様々な新たな知見をうることができる、 現在これら組織を活性化することで、酸化LDLのクリアランスに寄与するのではないかと考え生理学的実験を行っている
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験に用いる匹数を当初計画より一部削減することが可能であったため、動物購入費、試薬等の購入量が予定より減り残額が生じた。 次年度研究計画に高価な試薬があるため、翌年度分と合わせて購入する計画である。
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