研究課題/領域番号 |
24602002
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石丸 香苗 岡山大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00572471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 森林利用 / 土地利用 / アマゾン / 土地なし農民 / 農業生産 / アグロフォレストリー / 教育機会 |
研究実績の概要 |
本研究は、ブラジルアマゾンの熱帯二次林に侵入、占拠し農業生産を行う「土地なし農民」コロニーを対象として、①どのような生産活動を行うことで、②次世代の社会的階層がどう影響を受け、③森林バイオマスはどう変化するかを調べている。当地の農業生産は果樹栽培と単年作物を組み合わせた小規模農業である。 ①の農業部門では、栽培作物を年間の収穫期と結実までの年数により分類し、その構成と世帯収入の有無について解析を行った。結実までの年数が長い商品作物を多数植栽している世帯は、栽培初期の収入が無い反面、結実期を迎えると高い販売収入が期待される。一方、結実までの年数が短い作物を多種栽培している世帯は、栽培初期から自家消費・販売収入を見込めるが、一般的に市場価値が低いために長期的には高い収入が見込みにくい。 ②の教育部門では、子女の学歴と世帯収入、および親世代の学歴と子女の学歴の間には明らかな相関は認められなかった。 ③の森林バイオマスでは、隣接しあう入植年数の異なる三つの土地なし農民コロニーのバイオマスの2000年から2013年の変化を調べた。入植後7年のコロニーでは開拓によってバイオマスは全体的にロスを示し、入植後20年のコロニーではロスとゲインが混在し、入植後30年以上が経過したコロニーではゲインに加えロスアンドゲインが見られた。これは、入植後30年のコロニーでは栽培作物の成長によりバイオマスは増加する一方、植栽から長期間経過した果樹の植え替えが進んでいることが推測され、定着して継続的に生産を行う可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
森林部門の解析を引き続き行っている。昨年度はアメリカ地球物理連合での学会発表を行い、限座いは早い段階での論文作成を目指している。 農業部門は担当者の異動により昨年度は調査が行えなかったため、最終段階である作物選択に対する評価の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
農業部門での経年変化による世帯間の収入格差の解析を行う。また、教育部門では以前採集したデータの分析方法を検討し、世帯収入のデータとの関係性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は研究代表者が異動が生じたため、新規所属の意向との兼ね合いで調査研究を行うことが出来なかったため、旅費および人権費・謝金に余剰が大幅に生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は調査を行い旅費・人件費の支出が見込まれるとともに、論文執筆に際する英文校閲費や国際学会への旅費・参加費などの支出を計画している。
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