インドで行われた村単位でのベーシック・インカム(BI)給付実験、そしてアメリカのアラスカ州で1980年代から導入されている部分的なBI給付に関する現地調査から、BI政策の導入は、先住民族コミュニティを活性化することが明らかになった。歴史的正義回復を射程に入れた先住民族の権利の主張は、論理的にはBI要求への潜在力を持つが、現実の先住民族運動はBI政策導入の主張とは結びついていない。とはいえ、グローバルなBI政策導入の動きが高まれば、先住民族運動もそれに呼応しうる可能性があることは、関係者からのインタビューによって明らかにできた。
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