研究課題/領域番号 |
24602006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (70412921)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域住民 / エンパワメント / ソーシャルワーク / 限界集落 |
研究概要 |
平成24年度においては、平成20年度・平成22年度調査に続き、限界集落における繰り返し横断調査(3回目)を、計画通りに実施した。調査は、平成25年2月27日~3月3日の5日間にわたって、A限界集落の20歳以上の住民全員を対象に、住宅地図を活用した全戸訪問による配票留め置き法によって実施した。228件の調査票を配布し、186件の有効回答を得た。有効回答率は82.0%であった。 平成24年度の調査票においては、過去2回の調査と同様に「地域住民の高齢者支援パワー尺度(SPES)」の項目、「暮らしやすさ」「地域の集まりへの参加」「地域情報の入手経路」「家族・近所の人からの情報種類」「高齢者の生活支援経験」「高齢者の生活に役だっていること・大変なこと」「永住希望(元気・要援助)」「暮らし向き」等の項目に加え、「ソーシャルサポートへの期待」「社会的排除感」に関する項目を作成し、採用した。 平成23年度以前に行われた調査結果やそのデータの分析から、「地域住民の高齢者支援パワー尺度」の得点が高いほど、その本人が地域での永住希望を持ちやすくなることが示唆された。本研究の計画では引き続き、地域生活継続可能性を高める要因としての地域住民のパワーに注目する一方で、パワーの低い住民に対する社会的排除の動きを強めてしまう「地域住民のエンパワメントの逆機能」という負の側面にも注目して、データ分析に取り組む予定である。 平成24年度調査データの詳細な分析と平成20年度・平成22年度・平成24年度調査のデータをつなげた横断調査の繰り返しデータによる縦断的分析を行っていきたい。地域住民のエンパワメントの正の側面及び負の側面を明らかにし、今後「限界集落」化する地域の増加が予想される中で「誰もがいつまでも尊厳を持って暮らし続けられる地域づくり」に向けて、検討を継続していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初の予定通り、平成24年度中に限界集落における調査票による調査を実施しており、おおむね順調に進展していると言える。 しかし、本研究計画で検討すべき点として挙げている地域住民のエンパワメントの負の側面についての文献的検討が不足している点は否めない。社会的排除等に関する先行研究のレビューをより一層詳細に行っていく必要性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、はじめに平成24年度調査で得られたデータの分析及び平成20年度・平成22年度・平成24年度調査で得られたデータの縦断的分析を行う。 また、新たに地域住民間における社会的排除の関係性について、地域住民や行政担当者、社会福祉協議会職員等にインタビュー調査を行い、限界集落における地域住民間の関係や社会的排除について、分析の方向性を検討する。この検討結果をもとに、平成26年度に予定されている4回目の調査実施の準備等を行う。 これまでの研究成果の発表にも取り組む。6月にソウルで開催される国際老年学会では、限界集落における地域住民のパワー等の経年変化について、発表を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
はじめに、6月にソウルで開催される国際老年学会での成果発表のため、出張旅費及び大会参加費を養成したい。また、英語でのポスター等の作成に際しては、ネイティブスピーカーに英文校正を依頼する必要があり、その費用も合わせて要請したい。 次に、平成26年度調査の準備として、限界集落でのインタビュー調査を実施したい。インタビュー調査に際しては、インタビュー対象者への謝礼やインタビューのトランスクリプト作成費用、データの整理のための費用を養成したい。 その他、資料の収集、上記研究遂行に必要な機器備品、消耗品、旅費等にかかる費用を養成したい。
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