研究課題/領域番号 |
24602006
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
渡辺 裕一 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (70412921)
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キーワード | 社会的排除 / 地域住民 / エンパワメント / 限界集落 / ソーシャルワーク |
研究概要 |
平成25年度においては、平成20年度・平成22年度・平成24年度に実施した限界集落(以下、集落)における繰り返し横断調査のデータの分析及び発表に取り組んだ。同時に、繰り返し集落を訪問し、関係者へのヒアリングを行った。 3回の調査の縦断的な調査を行う間には、調査対象の集落と近隣地域との間にトンネルが開通したことや集落内に農産物直売所が整備されたことなど、住民の生活環境に影響を与える出来事が発生した。しかし、本調査の結果を縦断的に分析したところ、地域の人口構成には大きな変化が見られず、「地域の暮らしやすさ」、「地域住民のパワー」にも大きな変化は見られなかった。一方で、平成22年度調査から平成24年度調査にかけて、「近所の人同士のお茶飲み会への参加」や「防災訓練への参加」、「老人クラブへの参加(65歳以上)」には有意な減少が認められており、地域住民が集まる機会が徐々に失われている可能性が考えられる(IAGG2013SEOULにて発表)。平成26年度にも集落の調査(4回目)を予定しており、引き続き動向を注視していきたい。 平成24年度に実施した調査では、「地域の会合に参加しにくい」「自分の意見が地域に受け入れられていない」といった社会的排除に関する主観的な理解に関する質問(被社会的排除感)を追加した。この分析結果については、平成26年度に発表予定である。未発表であるため、次年度に報告したい。 また、平成26年度に予定されている調査では、これまでのヒアリング等で見えてきた「集落から排除されやすい人々」に対する「社会的排除観」について質問項目に加えて、検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成20年度から隔年で実施している限界集落での調査を予定通り実施するとともに、毎年の学会発表及び論文執筆による成果発表を継続して行うことができている。今年度も、平成26年度調査として、4回目の調査の準備をすでに進めている。 一方で、文献研究やデータ分析を十分に行うことができていない点については、今後の研究目的の達成に向けて、改善する点である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年2月から3月にかけて、本地域での横断調査の繰り返しによる4回目の調査実施を予定している。これまで採用してきた質問項目に加え、地域住民の「社会的排除観」を質問したい。すでに、調査実施に向けた準備を進めており、十分な先行研究等ににもとづいて、質問項目の検討を行っていきたい。 また、合わせて分析の実施及び研究成果の発表を積極的に行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度(平成27年2~3月にかけて)に社会調査の実施を予定しており、平成25年度においては人件費及び物品費を節約し、平成26年度調査の使用に充てたいと考えた。また、成果発表の場であるIAGGの開催場所が韓国・ソウルであったため、距離が近く、比較的安価であった。 平成26年度は、IFSW2014(メルボルン)及びGSA(ワシントンD.C.)での発表を計画しており、これらに必要な旅費を要請したい。 また、当該年度は繰り返し横断調査の実施年にあたっており、調査実施及びデータの整理に必要な物品費(ボールペン、封筒、コピー用紙、プリンタトナー、持ち運びできるクリアケース、名札、筆記ボード、最新の住宅地図、他)の他、調査員への研修経費、旅費、人件費・謝金を要請したい。 同時に、データの分析を進めること、成果の発表に必要な経費を要請したい。
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