研究課題/領域番号 |
24602008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
吉田 忠彦 近畿大学, 経営学部, 教授 (20210700)
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研究分担者 |
金川 幸司 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (00341470)
東郷 寛 近畿大学, 経営学部, 准教授 (10469249)
後 房雄 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20151855)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マルチセクター・パートナーシップ / NPO / 官民協働 / インナーシティ / 市民活動センター / イギリス |
研究概要 |
社会的排除を克服するための官民協働のスキームを構築するために、そのヒントとなる現場での動向を調査した。主な対象現場は、イギリスの中西部のバーミンガム市、日本の静岡県の掛川市、京都市などである。それらの地域においては、産業の衰退やインナーシティ問題、移民問題、被差別問題などによって社会的排除が見られるが、それに対して行政や民間非営利団体などがさまざまな活動によって社会的包摂を試みていた。イギリスの現場では産業の衰退と移民問題が複合した社会的排除の問題と、それに対する諸アクターの対応の事例が豊富に観察され、先行的事例として調査する必要性が確認できた。とりわけボルサルヒース地区での地域住民主導型の官民協働は、近隣再生の先進事例としてイギリスの連立政権においても注目されており、その地区でのフィールドワークの下地を作ることができた。日本における事例では、京都市における旧同和地区のコミュニティセンターが、市民活動センターとして指定管理者による運営が開始され、NPOなどが新しいアクターとして加わる様子が注目された。掛川市においては移民労働者との共生を目指して、NPOによる地域新聞やSNSの活用が注目された。コミュニティによる共同所有やアセット・マネジメント、公的アセットのトランスファーなどがスキームとして注目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定されていた地域でのフィールドワークは計画どおりに進められた。ただし、政権交代などのため行政の施策が変化しているため、それらの施策の変化や、現場での新たな状況を把握することが必要となった。とりわけ、日本およびイギリスの両者とも行政の財政的問題による補助金等の減少は、社会的排除に取り組む現場に大きな影響を及ぼしており、従来行われていたスキームの終了、活動団体の資源不足などが観察された。
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今後の研究の推進方策 |
初年度においてはマルチセクター・パートナーシップの萌芽がみられる現場の発見やその観察が目指して国内では5か所ほど、イギリスでは3か所ほどのフィールドワークが行われたされたが、今後はより深い観察を実施するために対象先を絞り込んでいく。国内においては京都市、掛川市を中心とし、イギリスにおいてはバーミンガム市を中心とする。さらにそれらの市の特定の地域へと絞り込んでいく。日本では区、あるいは町の単位、イギリスではneighbourhoodの単位で、コミュニティ団体、NPO、行政などの動きを観察することにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
【物品費】 10万円:フィールドワーク先に関する資料購入 【旅費】 80万円:国内(京都市、掛川市)、国外(イギリス・バーミンガム市)でのフィールドワーク 【人件費・謝金】 40万円:インタビューの音声データの反訳 なお、前年度からの繰り越し分については、今年度の物品費に充当する予定である。
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