研究課題/領域番号 |
24603001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉岡 聖美 筑波大学, 芸術系, 研究員 (80620682)
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研究分担者 |
蓮見 孝 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (60237956)
村上 史明 筑波大学, 芸術系, 助教 (30512884)
五十嵐 浩也 筑波大学, 芸術系, 教授 (80258839)
西尾 浩一 福井工業大学, 工学部, 准教授 (30550561)
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キーワード | 能動アート / 触知 / 把握 / 動作の誘導 / 小児患者 / ワークショップ / 気分評価 / リハビリ |
研究概要 |
本研究は、触る動作を誘導する「能動アート」の触知効果に着目し、触知性に起因するさまざまな効果によって、ホスピス緩和ケアにおける利用者のQOL向上のためのプログラムを開発することを目的とする。平成25年度は、触知と把握の動作に着目した「能動アート」プログラムである「花火を描こう!」を制作して評価した。コンピュータタッチパネルを触る動作とエアゴムを握る動作を誘導する「花火を描こう!」を動作することによって、POMS尺度の「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」「混乱」は有意に低下し、「活気」は保たれ、気分が改善することを確認した。また、筑波大学附属病院小児病棟において「花火を描こう!」アートワークショップを実践し、小児の入院患者の気分が有意に改善することを確認した。加えて、動作すると「もっとやりたくなる気分」になり、触ったり握ったりする動作を誘導することによって患者の身体機能維持(リハビリ)を補助することに役立つと考えることができる。英国Norfolk and Norwich University HospitalおよびOxford University Hospitalにおけるアートの取り組みを視察し、病院アートコーディネータから病院におけるアート活動の現状やセラピー効果について聴き取り調査した。また、英国およびスペインにおけるハンズオン(触って鑑賞する体験型の展示)によるアート展示を視察調査し、触る動作の誘導パターンを確認した。これらの研究成果について、論文および研究発表原稿を学術学会に投稿し、国際会議および国内学会で研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触知と把握の動作を誘導する「能動アート」プログラムである「花火を描こう!」のプログラムを開発して機材を制作した。筑波大学学生を実験協力者とした気分の評価に関わる基礎実験を実施し、有意に気分が改善する結果が得られた。それにより、筑波大学附属病院小児病棟および小児がん専門施設チャイルド・ケモ・ハウスにおいてプログラムを実践して評価した。小児の入院患者を対象とした筑波大学附属病院小児病棟では、プログラムを行うことによって小児患者の気分は有意に改善した。基礎実験に基づく実践研究を実施して研究成果が得られており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、入院病棟で使用しているナースコールについて、握る動作による安心感など気分の効果を導き出すようなアート性を付加した新たなナースコールのデザインについて研究を行う。得られた結果に基づき、筑波大学附属病院においてアートワークショップを実施して評価する。本研究課題において得られた研究成果について、KEER2014(国際会議)、日本デザイン学会、日本感性工学会などで発表し、学会誌に論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた研究の実践(アートワークショップ)について、一部の企画に日程変更が生じたため次年度に実施するため。 日程が変更となった研究の実践(アートワークショップ)の実施費用として使用する。
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