自然発生的に作り出され道具として使用されてきた民具は,最適形状の一つである全応力設計形状の特徴を持つ軽くて強い構造体の一つであることが示唆された。本研究初期において,「力学性は力学手合理性である」としていたが,「民具形態に見られる力学性は,(形が有する)力学的合理性と(その形の作り手が有していたであろう)力学的感性との関わりによって構成される」との結論に至った。そして,作り手(ある状況においては生活者そのもの)が,ある素材を前にして,それが与えられた状況・環境において最も効果的に力学的合理性を具現化する形態への創造・造形過程を見極める特性を,「作り手の力学的感性」と定義できることを示唆した。
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