研究概要 |
平成24年度は、計画にしたがい先行研究の調査と記録、描画力がアイデア評価に与える影響の調査を行った。スケッチは、製品開発おいてアイデア発想や情報の共有を促す媒体として有効である。[1] しかし、アイデアスケッチにおいては、定義が幅広すぎるため、本研究におけるアイデアスケッチを専門の背景が異なる参加メンバーが短時間で習得が可能で、専門性を活かした創造性豊かなアイデアの共創が行えるスケッチをアイデアスケッチとして位置づけた。当該年度より前になるが、23年度後期よりインタラクティブスケッチ[2] を改善したスケッチ方法で、産・学・福(福祉)の再生布(さきおり)を使用した製品開発プロジェクトで実践し、インタラクティブスケッチの有効性と描画力による評価への影響を検証した。インタラクティブスケッチは、信州大学教育学部の家庭科教育コースと図画工作・美術教育コースの学生が実践し製品のアイデアを創出した。実践により創出したアイデアを教員2名で評価を行った。その結果、アイデアを創出する段階では、描画力よりもアイデアそのものがすぐれているかで評価される傾向が分かった。このプロジェクトでは、4つの製品群を開発するに至り、その成果は信州大学より記者発表という形で報告した。質の高いアイデアが現実に製品化できたことは、本研究で行うアイデアスケッチの基本となるインタラクティブスケッチの有用性が証明されたと言える。 [1]塚原肇, 福田哲夫(該当ページ執筆),「JIDA プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ」, 『ワークスコーポレーション』, 2009, p138-139, [2]金箱淳一,蛭田直,赤羽亨,他4名「相互作用を喚起するアイデアスケッチ手法:Interactive Sketch の提案」,『日本デザイン学会誌 第57回研究発表大会概要集』,pp.28-29, 2011,
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、まず、不十分であるエキスパートデザイナーによる評価を取り入れた上で、インタラクティブスケッチの改善及び、新たなスケッチ手法の開発を引き続き行いプロジェクト、また、アイデアスケッチワークショップの中で実践することで検証を行う。その経過、開発を行う手法については、論文として発表を行う。その後、研究計画に従い映像教材の作成を行い、併せてアイデアスケッチ手法指導法の開発行う。可能であれば今年度中に学校教育課程の中での実践についても行う。これまで、行ってきたワークショップなどの記録については、映像の最適な閲覧が出来る編集と動画共有サービスへの公開を行う。また、これらの映像資料と本研究の概要と経過を後悔するウェブサイトも制作、公開する。 より短時間で習得するアイデアスケッチ手法の開発については、伊豆らによる「プロダクトデザインにおけるスケッチの構造モデル」[3] を参照しながら、最適な手法を開発する。 [3]伊豆裕一, 佐藤浩一郎 ほか, 「プロダクトデザインにおけるスケッチの構造モデル」, 『デザイン学研究』, vol59, 2012, pp61-70,
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