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2012 年度 実施状況報告書

1930年代から50年代の米国で制作された世界地図のデザイン傾向とその社会的意味

研究課題

研究課題/領域番号 24603013
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

伊原 久裕  九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (20193633)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード地図 / アメリカ / リチャード・エディス・ハリソン / ハーバート・バイヤー / グラフィックデザイン / デザイン史
研究概要

平成24年度は研究の準備段階として、以下の3つの資料収集・調査を行った。
1)地図関連資料の収集:研究書、雑誌、展覧会を対象として、本研究の背景となる地図デザインに関する一般的基礎資料、ならびに、1930年代から50年代にかけての米国における地図デザイン関連の史料を収集、調査した。調査の結果、当初の予想以上に、広範囲な資料が見つかり、本研究のテーマの可能性を再確認することができた。たとえば、1930年代後半から40年代前半にかけての米国では、地図デザインに関する多数の教科書等が出版されていたことが分かり、航空教育の分野など当初予想していなかった領域を含めて研究を推進する可能性について認識した。
2)1930年から1960年までの雑誌フォーチュン誌に掲載された地図、ならびに関連図版のデータベース作成:この雑誌を対象として悉皆調査を行い、約2000点あまりの図版を収集、データベース化した。現在まだ分析の段階にあるが、1930年代後半から戦時中にかけて、地図の数量が飛躍的に増大し、終戦とともに急速に減少している傾向を掴んでいる。また地図デザインに関わる複数のデザイナーの存在を確認し、特定した。
3)米国議会図書館リチャード・エディス・ハリソン・コレクションにおけるハリソンの業績調査:米国の地図デザインにおいて重要な役割を果たしたハリソンの調査を、米国議会図書館所蔵資料を対象として、2013年3月に実施した。その結果、スケッチなどの一次資料からハリソンの地図デザインに見られる数多くの特徴を特定できた。彼の地図デザインにおけるこれらの特徴は、広告デザインとの親近性を示唆しており、1930年代後半から40年代初頭にかけての米国の地図デザインの傾向を代表するものであるとする視点が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、初年度はまず基礎資料の調査によって、米国の1930年代以降の地図デザインの一般状況を把握することを目標としていた。初年度は、この計画に沿ってかなりの資料を収集し、まず時代背景との関連性についての概略的知見を得た。さらに、航空教育の分野における地図の教育実践への利用や、著名な工業デザイナーのNorman Bell Geddesが制作した戦場ディオラマと地図デザインとの関連など、当初予想していなかった個別の新しい課題設定の可能性も見いだすことができた。
ただし、当初予想してなかった問題点が1つ判明した。すなわち、米国議会図書館リチャード・エディス・ハリソン・コレクションにおけるハリソンの業績調査を実施したが、現地において、書簡などの資料が現在整理中であることが判明し、完全に資料できないという問題が生じた。しかし、これについては特別に許可をいただき、いくつかの資料を使用できた。また、必要資料については適宜問い合わせて利用できることになった。
以上のことから、初年度においては、ほぼ計画通りに研究が進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方策としては、引き続き史料収集を進めつつ、作成した雑誌データベースの分析を行う。次いで、これらの作業で得られた知見を踏まえて、1930年代以降の米国における地図デザインの傾向の背景について分析する。
25年度は、以上を踏まえて、特に最重要のデザイナーであるリチャード・エディス・ハリソンの業績について考察を進め、論文としてまとめることを目指す。
また、新たに判明した個別研究課題の可能性の検討や、2014年度以降の研究課題であるハーバート・バイヤー、バックミンスター・フラ―の地図デザインに関わる業績調査についての準備作業も合わせて推進する予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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