研究課題/領域番号 |
24603013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊原 久裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (20193633)
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キーワード | 地図デザイン / Richard Edes Harrison / Erwin Raisz / 米国 / 1930年代~50年代 / Herbert Bayer / デザイン史 |
研究概要 |
平成25年度は,第二次大戦中のアメリカの地図デザインの傾向を中心として,調査研究を行った。具体的には以下のテーマについての調査研究を実施した。 1)地図関連資料の探索と収集を続行し,特に第二次大戦中の地図デザイン関連資料を中心に収集した。その結果,毎月発行されていたポスター形式の地図を中心とした「Map news」と呼ばれる広報物の存在を確認した。この広報物の存在は,戦時中に地図が重要視されていた事実を示すとともに,デザイン面においても,24年度に調査を実施したリチャード・エディス・ハリソン(Richard Edes Harrison)の地図デザインが引用されているなど,はっきりしたデザイン傾向があることが確認できた。その他にアメリカ国務省の地理学者S. W. Boggsの地図やアトラスに関わる仕事を確認した。以上は当初の研究計画の時点では未知であった対象であり,本研究課題の有効性を改めて認識することができた。 2)平成24年度に収集したリチャード・エディス・ハリソンの地図デザインに関する資料データについては,引き続き整理と分析を行った。 3)個別研究テーマであるエルヴィン・ライツ(Erwin Raisz)の仕事に関する調査と分析を行った。ライツについては米国議会図書館において,資料調査を行ったが,数量が少ないことから,1944年に出版されたアトラス『グローバル地理学のアトラス』を対象に分析と考察を行った。このアトラスは戦後の国連を中心とする世界秩序の理念を「ひとつの世界像」として表象した視覚的テクストであることを論証した。この点において,彼の仕事はハリスンと,後のハーバート・バイヤーの『世界地理図』の中間に位置づけられる仕事であるとする仮説が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にしたがい,1930年代から40年代までの地図デザインについての調査を進めた。ただ,Harrisonの地図デザインについての考察のまとめがやや遅れている。当初リストアップしていたものよりも多くの興味深い研究対象が,確認できたことが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,ハーバート・バイヤー(Herbert Bayer)の『世界地理学帳』のデザインを目標として,彼の1940年代以降の仕事に関する資料調査を主に行う。調査場所としては,ニューヨーク近代美術館のアーカイブ,デンバー美術館などを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は特に資料収集を中心として研究を実施した。当初の予定よりもそのための費用が比較的少なくてすんだことが主な理由である。 今年度は,海外調査を中心として予算の執行計画を立てており,そのために有効活用する計画である。
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