研究課題
本計画研究では共同観賞のためのツールのプロトタイプを開発し、実展示での評価を行うとともに,博物館等における展示への展開を図っている.最終年度は次の2点について研究開発を行った.1.共同鑑賞のための鑑賞支援ツールの開発,2. 共同鑑賞のための情報環境デザインの実践1に関しては,前年度までに研究が進んだ共同鑑賞のための支援手法を具体化する形で,自律的照明制御による共同鑑賞支援デバイスについて2種類の試作を行うとともに,評価を進めた.ひとつは,手持ち型スポット照明による共同鑑賞支援ツールで,これにより複雑な細部構造をもつ作品の鑑賞において手持ちスポット照明を用いるとことで通常の全体照明に比べて鑑賞時間が長くなる傾向が示された.またこの効果を一度体験すると,その鑑賞効果が持続することも示された.このほか,大型高精細画像ビューワをインタフェースとする資料のリアル‐デジタルインタラクションツールの試作も行った.この手法ではタブレット端末で表示されたズーム画像の表示エリアと実物展示の照明エリアを連動することで共同鑑賞の支援効果を狙っている.2に関しては,前年度研究を進めた画像回転型インタフェースによる鑑賞ポイント発見ツールを現場で実践する形として,円柱回遊型鑑賞ポイント発見展示方式,およびブース回遊型共同鑑賞について研究を行った.前者は,五稜郭築造150年を記念して市内に設置された「リトファスゾイレ」(円筒形をした掲示板で、函館の歴史上の人物を写真と文章で紹介している)として実際に社会に実装した.また,ブース回遊型共同鑑賞では,通常展示ブースとして利用される小部屋内部で利用者が鑑賞する様子が,外からガラス越しに鑑賞できることで,鑑賞スタイルを鑑賞する形式の共同鑑賞が行えることが明らかになった.
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Journal of Knowledge, Culture and Communication
巻: online ページ: 1-12.
10.1007/s00146-014-0559-2