研究課題/領域番号 |
24603021
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
土屋 敏夫 下関市立大学, 経済学部, 教授 (10271074)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 感性工学 / 自己組織化マップ / 土塀 / 歴史的まちなみ / 景観 / 色彩計測 / テクスチャ |
研究概要 |
下関市長府地区を対象に、土塀の街なみの景観評価を実施した。これまでに実施したワークショップやアンケート調査の結果を提示しつつ、対象地区の景観計画に関する地域住民の意見を集約した。調査地域コミュニティのミーティングに参加し、ヒアリング調査、ワークショップ形式での意見集約を行った。 長府地区の土塀を対象に色彩計測を実施した。計測対象の土塀109サンプルについて、面積色彩計測システムを用いて色彩の計測を実施した。面積色彩計測システムの計測結果の妥当性について、分光測色計と比較しつつ、現地での目測による評価を実施した。さらに、土塀109サンプルのSD評価実験を実施した。評価対象は地元住民を中心にした25名、評価語は先行事例を参考にして15の形容詞を用い、5段階SD尺度法で評価した。得られたSD評価データを多変量解析により分析した。具体的には、クラスター分析、因子分析を用いた。分析結果をイメージマップとして表すとともに、評価語に影響するデザイン要素を抽出した。 土塀のテクスチャとSD評価値の関係を調査するため、テクスチャの定量化を行った。テクスチャの定量化にはOpenCVライブラリの画像ヒストグラムの距離を用いた。2つの画像サンプル間のヒストグラムの距離を算出し、SD評価値とともにSOM_PAKを用いて分析を行った。結果として、土塀のテクスチャの評価に置ける画像ヒストグラムおよび自己組織化マップによる分析手法の有効性が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
街なみ景観の評価への感性工学手法の適用において、対象地区の特徴的な景観要素である土塀に着目し、色彩の調査およびテクスチャの特徴量の抽出を実施し、手法を確立した。得られた特徴量データとSD評価データの分析を自己組織化マップを用いて実施し、本手法の有効性を確認した。また、調査結果にもとづいて、土塀に関する景観ガイドラインを作成し、地域住民と協働してガイドラインの協定化を行っており、今年度の目的はおおむね達成したといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の研究で残された課題として、テクスチャのヒストグラムのスケーリングが挙げられる。[0,1]のスケールで距離を算出したが、距離の感度が低く、分析結果が荒くなるという問題点があった。今後の研究としては、スケーリングのアルゴリズムを改良し手法の確立をめざす。 さらに、景観の実態把握と修景効果の確認のために、対象地区の街なみをVRシステム上にモデル化することが有効であると考えている。写真の3D化技術を用いつつ、対象エリアのモデル化を実施する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ソフトウエアとして3Dモデル化ツールを導入する。対象地区の写真撮影とモデル化の作業を行う。
|