研究課題/領域番号 |
24603027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋造形大学 |
研究代表者 |
渡邊 敏之 名古屋造形大学, 造形学部, 教授 (20387864)
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研究分担者 |
伊藤 雅昭 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (40312144)
外山 貴彦 名古屋造形大学, 造形学部, 講師 (80537788)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インフォームドコンセント / インターフェース / デジタルデザイン / イラストレーション / アニメーション |
研究概要 |
本年度は、医療を受ける側(患者)と医師のインフォームドコンセントを従来の紙ベースから、デジタルツールを利用したものへ移行するために、仮のものとしての「患者面談用システム」を構築する年と位置付けた。 まず、研究分担者・伊藤によって行われているインフォームドコンセントの現状をビデオ撮影し、その分析に着手した。その結果、画像の表現に関して、デザイン的所見から要素分けを行った。それをもとに必要と予測されるイラストレーションやアニメーションとその内容についてのミニデータベースを作り、面談のストーリーを仮組した。その結果、当初予定したプログラム用のプラグインを使うよりも、外注によってその要素も含めたプログラムを新たに構築する方が、価格的にも時間的にも有利だったため、上記要件を踏まえたプログラムの制作を予定よりも早めに行った。 同時にイラストレーションやアニメーションの表現の違い(全体の色彩、フォルム等)によって、受け取る印象にどのような違いが生じるかという点についての調査を開始したが、個人差が大きく客観的に判別できなかった。現在、実験方法を含めて検討し直している。 また、画像の表現以外では、医師によるシステムの操作性について調査した。操作画面の利便性を高めるため、インターフェイスのデザイン・レイアウトを複数制作し、ボタン操作や入力操作についてもビデオ撮影し、使いやすさの向上を図るための検討を行っている。 プログラムについては、当初Windows7をベースに開発を行っていたが、社会的なOSのアップグレード(Windows8へ)に合わせ、途中からは最新のOSをベースにプログラム開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液晶ペンタブレットPC上で稼働させた、仮のものとしての「患者面談用システム」を用いた実験、効果的な表現を見つけるためのイラストレーションやアニメーションの制作、インターフェイスデザインの制作・実験が滞りなく進んでいる。 現在、表現の違いによって生じる印象調査において、イメージに対して人々が受ける印象に個人差が大きく、バラバラな結果となってしまったため、効果的な分析が出来なかった。調査方法を含めて見直し、再開するために進行中である。 一方で、医師の操作利用実験により、伝える(伝えたい)内容が、イラストレーション・アニメーション・テキスト・さらにはレイアウトデザインによって大きく変化することがわかってきた。これは、実際のインフォームドコンセントにおいて、コミュニケーションのための時間や理解度を大きく左右することが予測されるので、翌年度はこの部分について細かな計画が必要であると認識し、検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初はプラグインソフトウェアを購入し、それをベースにカスタマイズ開発していく予定であったが、調査・実験を行う中で、その部分を含めたプログラム開発をゼロから構築する方が、結果的に早く、価格的にも安価であることが判明した。よって、プラグインソフトウェアのユニット購入を中止し、プログラム開発費用として外部委託した。これにより、物品購入費が大幅に削減でき、本年度使用金額に残額が生じた。 しかしながら、Windows8への対応も含め、翌年度は仮稼働させている「患者面談用システム」プログラムに調査・実験結果分析に基づいた修正を反映し、微調整していく必要がある。よって、当初計画よりも多めに外部委託費用を見込む必要がある。 新たに修正されたプログラムを用いて、患者へのアンケート調査へ着手するが、研究代表者と研究分担者間で密に連絡をとって、スムーズかつ効果的なものとしたい。 また、研究の成果や途中経過を学会や紀要等で発表し、他者の視点やアドバイスを受けて、より良いプログラムへと整えていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度は、患者へのアンケート調査へ着手するため、その為の準備として、数多くのイラストレーション、アニメーション、テキスト、レイアウトデザインのサンプルが必要となる。またそれを稼働するためのプログラム修正も必須であり、今年度削減できた研究費の大部分を充てていく見込みである。 またアンケート調査を効率的に進める為、液晶ペンタブレットPCをもう1台準備し、進めていく。 調査・実験を中心とした年になるので、必要に応じて、研究代表者と研究分担者で打ち合わせを行い、実際の研究機関を訪問する旅費を確保しておく。
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