研究課題/領域番号 |
24603028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
水口 充 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (60415859)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メディア表現 / ユーザインタフェース / コンテンツ処理 / メディアインタラクション / タイポグラフィ / 電子書籍 |
研究概要 |
本研究の目的は、書物の読み方及び作者の意図する表現を中心に据え、物理的制約にとらわれない電子書籍時代のタイポグラフィ技法を模索することにある。そのために、1.コンテンツレイアウト手法、2.コンテンツ記述手法と処理系、3.インタラクション手法、の3項目について、平成24年度は下記の研究開発を行った。 1.コンテンツレイアウト手法については、1行のみの表示でスクロールする1次元方向の巻物方式レイアウトによる閲覧ソフトウェアをJava言語で実装した。後述の前処理を行った文章を、文節、句読点、段落単位で空白を調整して表示することで可読性が向上することを確認した。本ソフトウェアは今後様々な表示方式を試すための基本となるものである。 2.コンテンツ処理系については、可読性を向上させるためには分かち書きが有効であることから、形態素解析ツールを利用して予め文節単位で文章を切る前処理プログラムを実装した。この処理は可読性の向上に有用である。また、品詞情報や係り受け情報を利用して、読解支援や表現力の向上への寄与が見込める。 3.インタラクション手法については、上述の閲覧ソフトウェアにおいて、インタラクティブな操作と自動スクロールを実装し、通常時は受動的に読み、読み返しなどの必要に応じて能動的に閲覧する読み方を実現した。これらの操作はPCでのマウス操作やタブレット端末でのタッチ操作を想定している。並行して、慣性スクロールを可能にするローラー型デバイスをLEGO Mindstormsとセンサーを使って試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
受動的な読みと能動的な読みの操作の実装など、次年度に計画していた内容まで進展できた部分があった一方で、成果発表のタイミングを逸したため当初計画していた成果物自体の発表には至らなかったが、全般的には各研究開発項目についておおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は当初の計画に沿って、1.コンテンツレイアウト手法、2.コンテンツ記述手法と処理系、3.インタラクション手法、の3項目について以下のように進める。 1.コンテンツレイアウト手法については、並行して開発するコンテンツ記述手法と処理系を利用し、プレインテキストデータとして記述されている既存コンテンツの変換表示、および記述手法を利用した新たなコンテンツのオーサリングについて、読解支援手法と表現手法を中心に開発とテストを行う。また、スクロール可能な領域を並列に並べる2次元レイアウトのプロトタイプを作成する。 2.コンテンツ記述手法と処理系については、品詞情報や固有表現情報を付与することにより、文書構造のレイアウトによる表現や、登場人物や地名の出現場所へのジャンプを可能にする閲覧支援を開発する。また、オノマトペや絵文字などの特殊な表現への対応を検討する。 3.インタラクション手法については、前年度に開発したインタラクション手法について操作性と可読性の評価実験を行う。また、情報キオスクのような大画面表示に対応する身体的な操作について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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