研究課題/領域番号 |
24603030
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
田中 一成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10330789)
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研究分担者 |
吉川 眞 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80116128)
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キーワード | GIS / バッファー・ゾーン / 植生 / レーザー測量 / 視線遮断効果 / 世界遺産 / 熊野古道 / モデル分析 |
研究概要 |
今年度は,昨年度にひきつづき紀伊山地熊野古道を対象として,バッファー・ゾーンのモデル化を検討した。昨年度の調査によって得たデータ(レーザー測量・測定)をもとに,植生モデルにおける理論値との比較検討を行い,現在バッファー・ゾーンのモデル化を行うための方法論を仮説的に見いだしている。 理論値の算出方法は,特にスギ・ヒノキ・サワラ植林に対して樹冠と幹部分に分けたものと,植樹からの年数(視点高の幹径)と植栽密度,植栽方法を用いるものである。この結果と調査結果の比較を行ってきたが,密度や樹冠部分の大きさ等パラメータの設定等に問題があると考えられ,調査値との間に大きな差がみられた。 この結果について,途中経過として,2013年度土木学会景観・デザイン研究発表会にて発表・ポスター展示を行い,多くの研究者と意見交換を行った。 さらに,多くの実証データを得るため,また,研究途中の考察から近景から遠景に至る見え方に差があることが原因のひとつと考えられたため,新たに紀伊山地熊野古道を対象に調査を行った。ここでの対象地区は,高野山中辺路における7地点の対象地区,それぞれ50m(基準値)の距離に対し,視覚データ,照度,音量等のデータを収集した。調査日は2013年11月1日・2日である。 分析では,各調査地点について,地形を考慮した可視・不可視分析をGISを用いて行うと同時に,その結果をモデル上で算出した結果と比較した。この結果は,近景と遠景について,現況に近い結果を得ることができた。 以上の結果をもとに,再度レーザー測量値の算出を行い,結果として,近景以外のデータを含み初期データを用い算出することで,観測値に近い値を得ることができた。この結果について,2014年4月28日に行われる国際的な大会である地球惑星科学連合のGISセッションにて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度から試行を繰り返すこととなっていたモデル化のための課題について,今年度,大きく進展をみた。さまざまなモデル化方法(算出方法・方法論)の検討と,複数回の現地調査を行い,最終的に研究の目的であるバッファー・ゾーンのモデル化に対してその可能性を見いだしている。 モデルとの整合性がとれていなかった現地調査結果において,その要因をつきとめ,今後の展開にむけた可能性を明らかにしている。これに先立ち,既に要因として検討してきた地形と樹木形状,植生奥行きの把握方法,植生の連続性の分断などについてデータを得ており,これらと合わせた分析も可能となっている。 ただし,昨年度の状況から今後の展開に向けて一定期間の分析が必要であり,予定では既に終了,まとめ段階に入っている部分が未完成となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在,主としてスギ・ヒノキ・サワラ植林について行っている,レーザー測量(測定)結果と現地での写真測量,モデル分析等の整合性を確認した後,他の植生についても同様の検証を行う。 これをもとに,昨年度ひとつの結論として見出した近景から遠景に至る見え方の差違をGISを用いてモデル化する。現状では近景に関連すると考えられる本研究の目的であるバッファー・ゾーンの設定について,その算出式をもとに地形との関連から距離を導出する。加えて,見え方以外の指標において比較検証を試みる。 以上の結果をまとめ,研究論文として発表する。 また,研究の進展にともない,文化遺産への応用について考察を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,平成24年度の研究の進捗状況を打開するため,情報交換の場である学会等への積極的な参加,研究進展モデル化に向けての基礎データ取得とその検証のための現地調査を行ってきた。これらのための旅費,委託経費,謝金に予算を用いた。さらに,分析に用いる特殊なソフトウェアを購入した。以上のように平成24年度の研究進捗状況を取り戻す計画としたため,差し支えのない範囲で部分的に予定していた調査等の変更を行っている。このために,データ整備にかかる人件費等研究費が予定より減少する結果となり,逆に学会参加のための旅費および調査分析のための研究費が増えてはいるものの,平成26年度の使用額が生じることとなった。 平成26年度は,これまでのデータを用いた現在までの分析結果と考察を経て得た成果をまとめた学会発表のための経費,およびこの発表をもとにまとめる予定の論文発表のための経費として用いる予定である。
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