研究課題/領域番号 |
24603030
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
田中 一成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10330789)
|
研究分担者 |
吉川 眞 大阪工業大学, 工学部, 教授 (80116128)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | GIS / バッファー・ゾーン / 植生 / レーザー測量 / 視線遮断効果 / 世界遺産 / 熊野古道 / モデル分析 |
研究実績の概要 |
本年度は,最終成果をまとめるにあたり課題となっていたバッファー・ゾーンを提案するための植生地区のモデル化の検討を主に行ってきた。このモデル化は主に景観的視点から行ってきたもので,地形と樹木の樹冠,密度等の形状を詳細に扱う分析と合わせてこれらを総合的に扱う手法を検討してきている。 バッファー・ゾーンが近景において遮蔽すべき対象と,あるいは遠景では同様のものが遮蔽すべき対象とはならない可能性をみいだし,これを視覚的分析から抽出する方法を検討した。さらに,ここでは視点からの連続性を評価することによって,距離感を抽出している。これらの成果は,景観的な視点から近景と遠景をもとに平面的なバッファー・ゾーンに対して三次元的なバッファー・ゾーンの設定モデルの意義を提案するものとなっている。 また,視覚以外についても,その指標としての可能性を実空間での計測と,その場での心理量評価との関係によって抽出した。多くの指標は汎用化まで至っていないが,仮説的に対象地区に適用することができると考えている。 以上の内容について,対象地区(5つについて分析を行っている)についての調査をもとにモデル化と結果のまとめを行い,対象地区の一部ではあるがバッファー・ゾーン算出結果と現場での調査結果について整合する成果を得ている。 さらに,類似の方法によって,今回対象とした世界遺産である熊野古道だけでなく,多くの異なる性格を持つ保全・保存の対象となる地区について,同様の方法を使用する可能性を見出している。この成果は,地域地区指定における新たな方法の可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述のように,モデル分析から得た結果をもとに,予定どおりバッファー・ゾーンを作成している。さらに,類似の方法によって新たな保全地区・施設のバッファー・ゾーン算出の可能性をみいだしている。2014年度(平成26年度)はこのようなこれまでの経緯をまとめ論文化の予定であったが,レーザー測量データの詳細な位置や一部地形の不整合,その結果バッファー・ゾーン算出結果と現場での調査結果の一部不整合から,作業は分析内容と考察,およびデータ整理まで至っておらず,今後,最終的なまとめと成果発表を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
達成度にかかわる最も大きな原因は,既存の地形図,植生図等の縮尺の問題であり,これを補うために必要な現地調査回数の制約に関する問題でもある。モデル化を用いて,提案するところまでたどり着いている成果について,方法論上の課題点をまとめ次第,学術論文としてまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は,得た結果をもとに予定どおりバッファー・ゾーンを作成し,類似の方法によって新たな保全地区・施設のバッファー・ゾーン算出の可能性をみいだした。このような,これまでの経緯をまとめ論文化の予定であったが,レーザー測量データの詳細な位置や一部地形との不整合からバッファー・ゾーン算出結果との不整合が生じており,現在作業は分析内容と考察およびデータ整理を行っている。このため,今後最終的なまとめと成果発表にかかる経費が未使用となっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
これまでの経緯をまとめ,精確な根拠データを整理すると同時に,論文化を行い最終的な成果を発表する。未使用額は,この発表にかかる経費にあてることとしたい。
|