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2012 年度 実施状況報告書

江戸小袖にみられる立木文様とインド、インドネシア更紗の相関性についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 24603031
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸芸術工科大学

研究代表者

佐久間 華  神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 助手 (00589202)

研究分担者 杉浦 康平  神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 名誉教授 (00226432)
馬場 雅恵  神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (00249202)
黄 國賓  神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (50441382)
曽和 英子  神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 研究員 (80537134)
齊木 崇人  神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
松本 美保子  神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 名誉教授 (90219519)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード江戸時代小袖 / 立木模様 / 生命樹 / アジア / インド更紗 / インドネシア更紗 / 友禅 / テキスタイルデザイン
研究概要

本研究の目的(1)江戸時代中期に登場した友禅染が小袖における「立木模様」の発達に影響を及ぼした。(2)江戸時代の小袖に見られる「立木模様」のルーツは、インドの「生命樹」を始めとするアジア各地の「立木文様」であると考え、それらが日本独自の自然観、美意識、「着物に風景を取り込む」という発想などと融合して日本独自の「立木模様」が形成された。初年度は、できるだけ多くの小袖・更紗に触れるため、展覧会訪問(国立民族学博物館 佐久間・松本)、博物館での特別観覧、(東京国立博物館・女子美美術館 佐久間・松本・曽和・ジャハンアラ)を行い18世紀インド更紗5点と小袖1点を調査分析。8月8日から18日には、インド調査を佐久間・松本・黄の3名で実施した。インドでは、ムンバイでプリンス・オブ・ウェールズ博物館(Chhatrapati Shivaji Maharaj Museum)観覧。スーラットでは、ジャイナ教寺院見学やサリー工場を見学。アーメダバードでは、キャリコミュージアム観覧、その後、NID図書館でリサーチを行った。また、アダーラジ階段井戸見学。調査後半には、NGO Dwaraka Plus一日染色工房・集落見学・ヒアリングを実施。キャリコ美術館収蔵のテキスタイル群の閲覧は、文献調査だけでは知ることのできない織や染色の風合いや細かな文様の様子を観察することができた。また、貴重なインド染色関連の資料も入手した。NID図書館では、絶版された貴重な書籍や資料を特別観覧した。アダーラジ階段井戸では、生命樹のレリーフの見学・撮影を行った。NGO Dwaraka Plusでは、天然染料を用いた生命樹カリムカリの制作現場や作成者からのヒアリングを行った。また、今後、本研究をどのように国外に発信していくかを調査する為、芸術・デザイン大学の連合組織クムルス(Cumulus)の国際シンポジウムにも出席した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度で大きく本研究に貢献したものとして挙げられるのは、次の2点である。
(1)小袖・インド更紗の特別観覧。東京国立博物館・女子美美術館で小袖とインド更紗の特別観覧を実施した。東京国立博物館では、ムガール朝時代のインド更紗を観覧、女子美では、小袖「黄縮緬地桜樹文字模様小袖」とインド更紗数点(白地十字架草花模様更紗(インド産)旧カネボウコレクション・花樹模様更紗(南インド産)旧カネボウコレクション)を並べて閲覧することで(A)文様の造形、構成、タッチ(B)色彩、特に赤系列の色の比較分析(C)樹木の描き方・花の種類・モチーフ(D)用途について(E)縫い直し(F)染色・織の技法などの点について考察することが出来た。肉眼でみることと、横に並べて観察することで色調や風合いなどを細かく観察することが出来た。また、文献調査では決して得ることのできない、個々の品々が個別にもつ「染色品としての完成度」や実際体で感じる「布・モチーフの大きさ」を実際に感じ取ることが出来、非常に参考になった。
(2)インド調査。キャリコミュージアム観覧では、何百枚ものインド更紗を一気にみることが出来、(A)年代や地域による特色(B)文様の描き方の密度(C)文様の形や構成など体感することができた。時間制限や撮影禁止などの制限が多かったものの、多くの名品を目にすることができたのは大きな収穫であった。また、寺院やアダーラジ階段井戸にあるような建築物に施された様々な種類の生命樹のレリーフを観察することができたのも収穫であった。また、最終日に実施したNGO Dwaraka Plus見学では、天然染料を用いた生命樹カリムカリの工程をみることができ染色の材料・技術の確認をとることができた。

今後の研究の推進方策

引き続き小袖・インド更紗、それからインドネシア更紗の実物を見て考察を続ける。夏には、ヨーロッパでインド更紗関連の調査:英国(V&A)、フランス(ミュルーズプリント生地博物館)などを実施する。また、国内では、小袖はもちろんのこと、古渡更紗、インドネシア更紗から作られた小袖についての調査を行う。
小袖・インド更紗・インドネシア更紗における立木模様の(A)染色・織の技術(B)立木模様の構成要素(C)動植物モチーフ(E)樹木の形状(F)大地の描き方(G)用途(H)染色技術の考察を開始する。また、18世紀コロマンデル地方で作成されたインド更紗の輸出ルートやデザインについて、インド更紗の技術の海外への流出について、インド更紗・インドネシア更紗・日本の染色の関連性についても文献調査を中心に進めていく。2014年春には、小袖と更紗における立木模様に関するセミナー(一般参加可能)を本学にて開催する。

次年度の研究費の使用計画

ヨーロッパ調査、セミナー開催にかかる費用、国内調査(展覧会、特別観覧など)にかかる費用、学会発表など研究成果の発信にかかる費用、文献購入など、

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公開日: 2014-07-24  

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