研究課題/領域番号 |
24603031
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
佐久間 華 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 助手 (00589202)
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研究分担者 |
杉浦 康平 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 名誉教授 (00226432)
馬場 雅恵 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (00249202)
黄 國賓 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 准教授 (50441382)
曽和 英子 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 研究員 (80537134)
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
松本 美保子 神戸芸術工科大学, アジアンデザイン研究所, 名誉教授 (90219519)
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キーワード | 生命樹 / 江戸時代小袖 / インド更紗 / 立木模様 / アジアンデザイン |
研究概要 |
本年度は、江戸時代の小袖における立木文様と18世紀インドの生命樹更紗のデータベース作成と文献調査を行った。日本の小袖にみられる立木文様については、主に日本国内の美術館や博物館に収蔵されている江戸時代に作成された友禅小袖のコレクション類を研究の対象とし、立木模様の造形的表現特徴-象徴性、造形的特徴、制作技法-の分析を行った。樹相については、以下の6種-うねり型、幹省略型、直立型、草木型、花束型、蔓木型に分類し、特に友禅小袖に多用されるうねり型に着目し考察を行った。18世紀インドの更紗については、ビクトリア&アルバート美術館、オンタリオ美術館に収蔵されているコロマンデル海岸で作成されたヨーロッパ向け生命樹更紗のコレクション類を対象とし、以下の9種の樹相-直立型、うねり型、絡み合う樹相型、糸杉型、交差型、角型、連立型、変形型、混合型-に分類し各々の樹相に見出されるインド、ヨーロッパ(ヨーロッパで大流行したシノワズリと呼ばれる中国趣味を取り入れた美術様式を含む)、ペルシャのデザイン様式を抽出した。加えて、以下に示す5つのインド生命樹のデザイン構成要素-樹の幹の形状、花・葉・実の種類・形状、大地の表現、動物の表現形態、構図について前述の各文化圏の造形・図像の様式やそのルーツを探るという試みをした。これらの研究成果として、12月7日に開催された芸術工学会にて口頭発表「江戸時代小袖に見られる立木文様の表現特性」(曽和英子)「18 世紀インド生命樹更紗の造形原理を解明する試み」(佐久間華)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している理由としては、江戸時代の友禅小袖と18世紀インド生命樹更紗のデータベース作成と文献調査を十分に行うことができたことが挙げられる。また、対象とする小袖とインド生命樹更紗の立木模様の樹相に着目し、タイプ別に分類し分析を行った。また、それぞれの立木模様にみられる外来文化の影響に起因するとみられる造形的特色を抽出した。立木模様のデザイン構成要素を絞り込むことで今度、インドネシアバティックの立木模様もそれに沿って調査分析を行うことが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定としては、引き続き研究対象の江戸時代の友禅小袖と18世紀インド生命樹更紗のデータベース作成を行うと共に、インドネシアバティック、とりわけ、チルボン、プロンガン、インドラマユ、ラスムなどジャワ島北岸のオランダや中国の影響がみられるバティックにおける立木模様についての調査・データベース作成を行う。秋までには、日本の江戸時代友禅小袖・18世紀インド生命樹更紗・19世紀インドネシアバティックにおける立木模様の比較分析を行いまとめ作業に入る。また、テキスタイルデザイン領域の観点から、本研究で得た知見をベースに立木模様のデザインを行い作品を制作する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に予定していたヨーロッパ調査は、他分野の研究も同時に行ったため別予算で行い、科研費を使用しなかった。また、ワークショップ及び浴衣制作をテキスタイルの作品制作に変更し26年度に行うことにしたことでそれに伴う予算も未執行である。 使用計画としては、8月にヨーロッパ調査の実施、テキスタイルの作品制作、セミナーの開催、報告書制作などを計画している。また、必要に応じて学会など研究発表を行う諸経費に充てる。
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