研究概要 |
色弱者17名を被験者として錠剤識別性評価実験を実施した.錠剤としては色彩特性に基づき黄群,黄赤群,赤群,または,混合群に分類した各5錠を,背景色としては紫 (lt22),青 (lt18),青緑 (lt14),ライトグレー (ltGy),ミディアムグレー (mGy),ダークグレー (dkGy),白 (W) の 7 色を用いた.また,評価実験では,錠剤色群または背景色をそれぞれアルファベットまたは数値により表記し,被験者が色名により不必要なイメージを持つことを排除した.既に確立した方法を用いて行った評価実験の結果をスコア化し,3要因つまり(方眼の有無:2水準)X(錠剤色群:4水準)X(背景色:7水準)に対して SPSS を用いて分散分析した.その結果,(方眼の有無)では F(1, 16) = 3.507, ns,(錠剤色群)では F (1.467, 23.466) = 11.150,MSe = 46.332, p < 0.001,(背景色)では F (2.300, 36.805) = 9.518,MSe = 9.518,p < 0.001,(方眼)X(錠剤色群)では F (3, 48) = 4.203,MSe = 1.112,p < .01,(方眼)X(背景色)では F (2.972, 47.559) = 1.733,ns,(錠剤色群)X(背景色)では F (4.220, 67.525) = 6.915,p < 0.001,(方眼)X(錠剤色群)X(背景色)では F ( 7.291, 116.662) = 1.287,ns という結果が得られた.多重比較の結果としては,赤群の錠剤が,黄赤群に対して 0.1% 水準で,黄群と混合群の錠剤に比べて 5% 水準で識別性が高かった.背景色に関しては,lt18 が lt22 と lt14 に対して5% 水準で識別性を向上し,dkGy が lt22 に対して 0.1% 水準で,lt14 および ltGy に対して 1% 水準で,W に対して 5% 水準で,有意に錠剤の識別性を向上した.現在,有為な差が観察された(方眼)X(錠剤色群)と(錠剤色群)X(背景色)についての下位検討と多重比較を行っている.
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