薬または菓子をイメージし68 種類の着色錠剤について、20 代(20 名;女性 10 名、男性 10 名) 60 代(15 名;女性 11 名、男性 4 名)、70 代(14 名;女性 6 名、男性 8 名)が嗜好性を評価した。得た結果をスコア化するとともに、医薬品の基本的な色相を踏まえ,色相 (Hue) がほぼ一定の範囲にあること及び彩度ができる限り広い範囲に分布することを判断基準として,YR(橙)系 8 錠,Y(黄)系 8 錠,GY(緑黄)系 8 錠,B(青)系 11 錠および RP(赤紫)系 10 錠からなる群を選択して、SPSS Statistics を用いて、2 要因分散分析を行った。その結果、選択した 5 色相すべてにおいて、興味深いことに、年代および性別の主効果には有意差は観察されなかったが、平均スコアは彩度または明度、特に、明度に対して良好な相関を示した。また、YR 系と B 系においては、イメージの有意な主効果になく、薬および菓子の色彩としての許容範囲は、YR 系の明度 7.5 以上、彩度 9.3 以下、B 系の明度 6.9 以上、彩度 7.0 以下であると結論した。一方、Y 系、GY 系および RP 系では、イメージの主効果は優位であり、薬をイメージした場合の色彩に対する評価点は低かった。その結果、RP 系では、薬の色彩としての許容範囲は明度 7.4 以上、彩度 10.6 以下、菓子の色彩としての許容範囲は明度 7.0 以上、彩度 10.6 以下であることが有意差に対する詳細な考察から結論付けることができた。一方、Y 系と GY 系については、評価スコアに差はあるものの薬と菓子の色彩許容範囲は重なり、Y 系では明度 8.9 以上、彩度 6.6 以下、GY 系では明度 7.2 以上、彩度 5.4 以下であることが示された。
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