研究課題/領域番号 |
24603039
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
近藤 伸亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (40336516)
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研究分担者 |
福重 真一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10432527)
舘野 寿丈 産業技術大学院大学, 創造技術専攻, 准教授 (30236559)
野間口 大 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362657)
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キーワード | 持続可能ビジネス / ビジネスモデル / 設計論 / デザイン言語 / 外部性 / シナリオモデル |
研究概要 |
国内を中心に持続可能ビジネスの事例収集・調査および文献調査を行い、持続可能ビジネス設計のための必要条件を通常のビジネス設計手法と比較して整理、類型化することを試みた。この結果、持続可能ビジネス設計には当該ビジネスに直接関与するステークホルダのみではなく、間接的に利益または被害を受ける他の関連ステークホルダを考慮にいれてビジネスモデルを設計すること、すなわち「外部性」を考慮したビジネスモデル設計を実施することが肝要であり、この点において通常のビジネス設計手法とは異なる設計支援手法が必要となることを明らかにした。例えば、持続可能ビジネスは利益のみではなく地球環境や人々の福祉などのトリプルボトムラインを実現することを目的とするので、環境的、社会的、ときには倫理的な側面を考慮したビジネス設計が必要となるし、また多世代間の公平性を担保することが必要となることから、通常のビジネスに比べて長期間にわたってビジネスシナリオを設計することも不可欠である。 このように通常ビジネスに比べ、ビジネスの考察範囲を広げ、社会、環境的な様々な因果関係を考慮した上でビジネスシナリオを構築することが、持続可能ビジネス設計の特徴である。これを支援するためには、単なる持続可能ビジネスの成功事例の収集にとどまらず、これらの外部性のモデリング手法、外部性に起因する様々な問題やそれを解決する手法群と事例を関連付け、統合的に持続可能ビジネス設計を支援するシステムを開発することが必要となる。この目的のもと、(1)持続可能ビジネス設計課題において生じる外部性の列挙・分類、(2)各外部性を表現可能なモデリング手法(アスペクトモデル)の収集、(3)アスペクトモデルを統合的に用いた設計支援手法の開発作業を行った。以上に関連して国際誌2件(査読有)、国際会議4件の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
持続可能ビジネスについての事例収集・分析結果をデータベース化し、さらに、事例に共通する問題構造・問題解決パターンの類型化を進め、これらを用いて持続可能ビジネス設計ワークショップを実施し、持続可能ビジネス設計の方法論の概略と、計算機等を用いて支援可能な技術要素の抽出を行った。 研究の目的に照らし、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
地方自治体での活用を目指して、方法論の簡略化を当初は試みたが、当該自治体担当者との打ち合わせを通じて、簡略化よりもむしろ、方法論のより一層の充実と形式化が必要であるとの結論に達した。そこで、より包括的な事例分析、文献調査を実施し、その結果、様々な「外部性」を設計者、設計チームに体系的、包括的に提示することが持続可能ビジネスの設計に不可欠であることが明らかとなった。そこで、これまで収集した事例およびモデリング手法を外部性という観点から再整理し、持続可能ビジネス設計に必要十分なモデル要素、モデリング手法を明らかにするとともに、これらを統合化して活用するための方法論の構築を今年度試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会参加費等を各分担者が利用可能な他の予算から捻出することで、成果発表のための英文校正、論文投稿、学会参加費等を最終年度に多めに確保することを目指したため。特に国際会議への参加は渡航費が大きいので、最終年度に集中的に成果発表を行いたいと考えている。 研究成果発表のための旅費、学会参加費、英文校正等に使用する予定である。
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