研究課題/領域番号 |
24610001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
玉井 眞理子 信州大学, 医学部, 准教授 (80283274)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生命倫理 / 学際的融合 / ゲノム / ヒト胚 / 脳科学 / 国際研究者交流(アメリカ) |
研究概要 |
研究開始年度に当たり、本課題の趣旨にそって全般的に課題状況を把握するために、第13回アジア生命倫理会議(Asian Bioethics Conference)に参加し情報収集等を行った。サブテーマ「ゲノム」と「ヒト胚」にまたがる課題に関しては、次の2つの国際学会に参加し、今後の研究についての示唆を得た。①ヨーロッパ人類遺伝学会(European Society of Human Genetics)年次大会および「人類遺伝の心理的側面に関するヨーロッパ・ミーティング(European Meeting on Psychosocial Aspects of Genetics 2012)」、②アメリカ臨床遺伝学会(American College of Medical Genetics and Genomics)。もうひとつのサブテーマ「脳科学」に関しては、当該領域に造詣の深い若手研究者に研究の動向も含めてヒアリングを行ったところ、「脳科学」にとどまらない研究倫理全般の課題が浮かび上がってきた。また、日本人類遺伝学会および日本生命倫理学会のいずれも年次大会に、マサチューセッツ総合病院の遺伝科医ブライアン・スコトコー(Brian Skotko)氏を招聘し、出生前診断をめぐる生命倫理問題に関して検討する機会をもった。スコトコー氏との国際連携については、3年間の本研究課題の継続中、少なくとも年に1度は来日して講演することに関して本人の内諾を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年6月にドイツのニュルンベルグで行われたヨーロッパ人類遺伝学会(European Society of Human Genetics)年次大会および「人類遺伝の心理的側面に関するヨーロッパ・ミーティング(European Meeting on Psychosocial Aspects of Genetics 2012)」に参加し他の参加者らと意見交換を行った。同年8月にはマレーシアのクアラルンプールで行われた第13回アジア生命倫理会議(Asian Bioethics Conference)に参加し大会長であるダリル・メイサー(Darryl Macer)氏と今後の共同研究の可能性について検討した。同年10月27日には日本人類遺伝学会第57回大会においてマサチューセッツ総合病院の遺伝科医ブライアン・スコトコー(Brian Skotko)氏を招聘し、生命倫理セミナー「Prenatal and postnatal diagnoses of Down syndrome: new advances and updates for today's physicians(出生前および出生後にダウン症を診断するにあたって医療者が知っておくべき最近の進歩と最新の情報について)」を開催した。続く10月28日には、日本生命倫理学第24回年次大会においてワークショップ「新しい出生前検査をめぐる問題―生命科学の進展に対応した規範創生のための多分野融合の観点から」を開催した。2013年3月にはアメリカ臨床遺伝学会(American College of Medical Genetics and Genomics)大会に参加し他の参加者らと意見交換を行うとともに、ブライアン・スコトコー氏とも懇談し今後の共同研究について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の2年目となる2013年度は、当初設定した3つのサブテーマを2つに統合する。暫定的に設定した「ヒト胚」「ゲノム」「脳科学」のうち前二者を、「生まれ来ることをめぐる生命倫理」として統合し、「脳科学」に関しては、それを包摂するかたちで「生きられる体験としての生命倫理」としてそれぞれ改題する。その上で「生まれ来ることをめぐる生命倫理」では、出生前検査/診断/スクリーニングの問題を扱う。「生きられる体験としての生命倫理」では、若手研究者へのヒアリング等を通して「脳科学」にとどまらない研究倫理全般に関してさらなる調査を進める。参加する予定の国際学会および会議は次の通りである。2013年6月にポルトガルのリスボンで開催される国際出生前診断学会、同年10月にアメリカのボストンで開催されるアメリカ人類遺伝学会年次大会、同年11月にインドのチェンナイで開催される第14回アジア生命倫理会議、2014年3月にアメリカのナッシュビルで開催されるアメリカ臨床遺伝学会。また昨年度に引き続き、マサチューセッツ総合病院の遺伝科医ブライアン・スコトコー(Brian Skotko)氏を招聘し、日本人類遺伝学会第58回大会において生命倫理セミナーを企画中である。出版に関しては、『出生前診断とわたしたち』(生活書院)の章立てが確定し、収載原稿を執筆者相互に検討中の段階であり、これを継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、コピー用紙代および資料整理用ファイル代として10千円を計上する。旅費に関しては、申請時の計画では500千円であったが今年度は増額する。申請者本人が国内および国外の学会等(ポルトガル、アメリカ・ボストン、インド、アメリカ・ナッシュビル)に参加する予定を考慮し、また、海外からの研究者招聘のための旅費が初年度実績で約300千円であったことから(アメリカのボストンからB・スコトコー氏が来日し4泊6日の滞在中に東京と京都でそれぞれ1回ずつ計2回の講演を行った)、合計1,000千円を計上する。研究を円滑に遂行するために研究補助者への謝金が必要であるが、初年度同様の時給および時間数で280千円とする。その他として、研究会開催のための会場費を10千円を計上する。
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