本研究課題の最終年度となった2014年度は、当初設定した3つの柱「ヒト胚」「ゲノム」「脳科学」を再編し、「生まれ来ることをめぐる生命倫理」と「生きられる体験としての生命倫理」という2つのサブテーマを継承しつつ研究を行った。「生まれ来ることをめぐる生命倫理」では、出生前検査/診断/スクリーニングの問題を扱った。「生きられる体験としての生命倫理」では、2013年度に行った若手研究への若干のヒアリング資料を活かし、「当事者体験」と「ケアの倫理」をキーワードとしてさらなるヒアリングと相互検討の機会を設けた。国際学会参加は、2014年6月にイタリアのミラノ開催されたヨーロッパ人類遺伝学会、および同年10月にアメリカのサンディエゴで開催されたアメリカ生命倫理学会である。また、一昨年、昨年に引き続き、3度目となるブライアン・スコトコー医師の招聘を企画し、信州大学にて講演会(6月28日)を行った。また、日本遺伝カウンセリング学会おいては、市民公開シンポジウム(6月29日)を行った。研究成果を世に問うための出版に関しては、『出生前診断とわたしたち』(生活書院)の刊行が実現した。さらに、「生きられる体験としての生命倫理」に関しては、2012年度にヒアリングの対象となり、本研究課題の研究協力者でもあった複数の若手研究者による論文著作集『(仮題)生きられる体験としての生命倫理』(出版社交渉中)の編集を企画中である。
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