研究課題/領域番号 |
24610003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
道和 百合 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60625200)
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研究分担者 |
瀧本 禎之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00396699)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床倫理コンサルテーション / 臨床倫理 / 病院倫理委員会 / 全国調査 / 事例検討 / 意思決定支援 / autonomy |
研究実績の概要 |
道和は、質問紙調査の結果をもとに、面接調査を行った。協力を得られた施設は5施設で、半構造化面接を行った。以上の結果から臨床倫理コンサルテーションを実践するために必要な教育内容について、2つの提言を作成した。病院倫理委員会(臨床倫理コンサルテーション)の教育研修方法に関しては、1.事例検討が最も有効な教育研修方法、2.病院内の研修会でも小グループの勉強会でも事例検討は可能、3.公平な話し合いの場をつくるためには、司会進行役もしくはファシリテータが必要、の3点が臨床倫理の教育や研修体制の確立に重要であることがわかった。病院倫理委員会の運営に関しては、1.事務局体制は必要(専任でなくても兼任で可能)、2.事務系の職員の協力が安定した委員会運営に重要、ということがわかった。質問紙と面接調査の結果と提言を冊子にまとめ、全対象施設に送付した。 瀧本は、倫理コンサルテーションを行うための必要な知識・技術抽出するために、2010年から2013年の間に東京大学医学部附属病院患者相談・臨床倫理センターにおいて倫理コンサルテーションを提供した案件のうち、がん診療に関わるものものの傾向を調査した。がん診療に限定したのは、多くの病院で緩和医療が提供される中で、特に現場の医療者が倫理的問題に対処しなければならないことが多いと考えられるからである。対象となった32ケースのうち「意思決定」「告知」「身寄り」の3つの問題が多くみられていた。特に治療方針を含めた「意思決定」の問題は共通してみられ、アドバンスディレクティブに代表される意思決定支援に関する技術を獲得することが必要と考えられた。また、本人への「告知」や「身寄り」がいないことの対応に苦慮するケースが多くみられたことから、コミュニケーションスキルのみではなく、表面上の自己決定尊重ではなく、“autonomy”の道徳的価値に関する知識が必要と考えられた。
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