医療スタッフへの「倫理サポート」のシステム構築を伴った組織的対応がとられることなく、もし「倫理原則」だけが抽象的に振りかざされるならば、それは医療現場に混乱をもたらすだけでなく、倫理的感受性の高い看護師等の現場スタッフがバーン・アウトしてしまう。個人の道徳的努力のみを過度に求める「倫理」では、かえって責任感のある医療従事者ほど、倫理的問題を自分独りで解決しようと抱え込んでしまう。医療従事者が「独善」に陥ることなく「チーム」でアプローチできるようになるためには、「臨床倫理コンサルテーション」が不可欠であり、またこうした活動を統括する「臨床倫理部」の体制整備が求められる。
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