研究課題/領域番号 |
24610008
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
角田 ますみ 東邦大学, 看護学部, 講師 (40381412)
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キーワード | 生命倫理 / 倫理教育 / 福祉 / 介護 / 福祉倫理 / 介護倫理 / 高齢者 / 介護福祉士 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き介護福祉士養成課程における倫理教育の現状を調査した。 全国の介護福祉士養成課程を含む4年制大学および3年制(2年制含む)の短期大学に加えて、今年度は専門学校3年制課程における倫理関連の科目設置状況を、以下の手順で調査した。1)WEB公開もしくは冊子体によるシラバスの収集、2)収集したデータの分析である。 これらにより、全国の大学および短大、専門学校における倫理関連科目の設置状況が明らかになりつつある。大学および短大では、倫理関連科目の設置はほぼ全校にわたっていること、倫理を独立した科目として設置している大学は約6割で、単独で設置していない学校でも「介護概論」などの専門科目のなかに必ず入れていることがわかった。専門学校では、倫理を独立した科目として設置している割合が現時点での分析では少なく、前述した「介護概論」などの専門科目に含めており、学問というよりは職業としての態度として倫理を位置づけている可能性が高いことが示唆された。介護の専門学校数は膨大であり、その課程における倫理関連科目の設置状況を調査対象としている研究はないため、非常に意義のあるものと考えられる。 4年制大学における結果についてはすでに第25回日本生命倫理学会で発表した。さらに短大および専門学校の結果を第26回日本生命倫理学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究における本年度の到達段階は1)「介護福祉士教育課程の倫理科目の設置状況の把握」と2)「臨床における介護福祉士が抱える倫理的問題の現状把握」である。1)はデータ収集および大学と短大の分析まで終了しているが、専門学校の数が300校近くにのぼり、分析に時間がかかっている状況である。さらに近年の福祉系学部や専門学校の新設や全学生を対象とした国家試験の実施(平成27年度より)からカリキュラムの見直しが行われている現状があり、データ収集や分析に時間がかかっている。そのため当初計画した内容や達成度より遅れているため、今後さらに効率よく調査できるように鋭意努力していく。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階として大学および短大養成課程に加え、専門学校における介護福祉士教育課程の倫理科目の設置状況の把握を完成させる。 第2段階では、1)介護職の倫理教育機会や倫理的知識や必要性の認識、業務で生じる倫理的問題に対する認識と対処行動などから構成される自記式無記名質問紙の作成を行い、2)その質問紙を用いてパイロットスタディを実施する。その結果と専門家のアドバイスを基に修正・追加を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が発生した状況として、介護福祉士養成機関の新設や国家試験義務化に伴うカリキュラムやシラバスの変更による影響で、調査対象が当初よりかなり増えていることが考えられる。そのためデータ収集や分析に時間を要しており、調査の進捗が遅れているためである。 研究計画の進捗具合と調査対象を再度見直して研究の進捗をよりスピードアップし、予算を適正かつ適切に使用するように計画していく。具体的には人件費により研究協力者にデータ収集の協力をあおぐこと、調査の支援として外部の調査支援業者に依頼する、消耗品としてデータ分析に必要なソフトの購入、旅費として研究成果を学会発表する、謝金として必要な面接調査を随時積極的に進めていく、などである。
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