研究課題/領域番号 |
24611005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
津々見 崇 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40323828)
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研究分担者 |
大西 律子 目白大学, 社会学部, 教授 (50337630)
十代田 朗 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70226710)
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キーワード | 観光まちづくり / 副読本 / 生涯学習 / エコミュージアム / 市民ボランティア育成 / インタビュー調査 |
研究概要 |
(1)さいたま市岩槻区のイベントを中心とした観光まちづくりの展開過程を取りまとめた。また、イベント市民ボランティアの過去の学習と活動の接続の事例を用いて<接続プロセス論>の仮説を立て、これに基づく学習プログラムを市民に対して試行した。観光まちづくり活動に対する動機づけ及びPBLの一環としてのイベント参加シミュレーション及び実践を一連のカリキュラムとして実施、学習者にとっての<接続>の可能性を調べる意識調査・観察調査を行った。また、「観光まちづくり学習」のゲートウェイとしてのWS・研究展示を行い、市民意識調査を行った。 (2)熊本県天草地域の観光まちづくり副読本について、現地小学校での活用状況についての調査を行った。また同時に、当該副読本以外に地域で制作された郷土資源に関する媒体(教材)を渉猟し、それらの制作過程と観光地としての発展過程・観光まちづくり活動との関連について関係者へのインタビュー調査を実施した。その結果、①地域学習は市町村合併等を契機に盛んに行われ、それに伴って制作された教材が天草地域に多数存在すること、②こうした教材は予算の性質上単年度の取組みに偏り、地域教材アーカイブとしての位置付けが弱く、継続的な学習を通じた地域住民の人材蓄積では課題が多いこと、③観光振興政策の一環として取り組まれている観光まちづくりへの住民の参画を促す取組みとの接点が殆どないこと、等が明らかとなった。 (3)実証実験の2件目として、観光まちづくり学習の当初期にある北海道石狩市のエコミュージアムづくりプロジェクトへの参与観察調査を行った。本研究の<接続プロセス論>を実証すべく、地域資源を包括的に含み、他者伝達行為としてのエコミュージアムづくりを通じて、教材・媒体政策、参加市民層の拡大、他の観光まちづくり活動への展開を視野に入れた包括的なプログラムを設計して実施している(最終年度まで継続予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に「観光まちづくり活動」に関する良い事例地域(さいたま市)と接触することができたため、継続して2年目の活動に取り組むことができ、3年目の活動予定を一部先行して行うことができた。また上記都市部の事例研究対象地域と比較できるもう一つの対象地域(石狩市)のプロジェクトへの調査も開始でき、3年目の研究計画の下準備としては十分であると考えられる。1年目のテキスト分析については一部未了の調査・分析が残ってはいるものの、全体としてはおおむね2年目までの予定段階を達成しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)観光まちづくり学習教材の内容分析の残余分を完了させるとともに、観光まちづくり学習教材の作成・使用過程の調査、観光まちづくり活動の展開過程の調査を完了させることで、学習と活動の<接続プロセス論>を完成させる。 (2)当初計画の3年目の内容のプレスタディを済ませたので、その成果を踏まえ、3地域での教材制作と実証実験を進め、<接続プロセス論>の検証を進めると共に課題等について考察を行い、本研究課題のとりまとめを行う。 (3)これまでの研究成果を査読論文に投稿するとともに、3地域の事例調査の結果について分析を進め、観光研究学会大会等で発表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主たる要因は旅費の未消化にあるが、これは以下の理由による。①今年度に事例調査を行った熊本県天草地域には主に研究代表者が赴き、研究分担者は同じく事例調査対象地域であるさいたま市岩槻区に赴いた。このように役割分担を明確にしたため、当初予定よりも旅費を抑えることができた。②最終年度に実証実験を行う事例研究対象地域が遠隔地(北海道)となったため、そのために旅費に余裕を持たせておく必要が生じた。③3年目の内容を先取りして研究を遂行したため、先に行う予定であった観光まちづくり学習教材制作地域のより広範な調査が多少残っており、現地調査の旅費が一部未使用である。 最終年度に必要な経費の多くは、事例研究対象地域である北海道でのワークショップにおける、学習と活動の接続に関する参与観察調査の旅費である。研究チームの仮説に立脚したワークショップ運営を実施するために、研究代表者に加え、研究分担者やリサーチ・アシスタントの同行が必要となるため、旅費として前年度まで以上に使用することになると考えられる。また、研究成果発表・情報収集のために学会に参加する際の旅費も必要である。 物品費については既に交付決定額に近づいており、支出を抑える予定であり、謝金(RA経費)、その他(学会投稿料等)については当初予定通りの支出を考えている。
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