研究課題/領域番号 |
24611005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
津々見 崇 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40323828)
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研究分担者 |
大西 律子 目白大学, 社会学部, 教授 (50337630)
十代田 朗 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70226710)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エコミュージアム / スタディ・ツアー / ワークショップ / 参与観察調査 / インタビュー調査 / 北海道石狩市 |
研究実績の概要 |
研究計画4.の「接続プロセス論に基づく教材制作と実証実験」として、北海道石狩市のエコミュージアムづくり活動「Project M」への調査を継続的に行った。1年間をかけて行われた、11回のワークショップ、4回のフィールドワーク、2回のアウトリーチ活動(スタディ・ツアー)、1冊の教材(パンフレット)制作、及び1回のシンポジウムの過程について準備段階も含めて参与観察調査・意識調査を行い、具体的には、①エコミュージアム設立活動そのものの地域にとっての意義、②地域資源の整理と「地域にとっての価値」の設定のあり方、③スタディツアーやパンフレットとしてアウトリーチする際の一般市民(ユーザー)への他者伝達行為としての情報伝達のあり方、④他の活動団体との連携の端緒的取り組みの進め方、等についての参加市民メンバー間の議論の過程を観察し分析した。その結果、地元資源の学習からグループ外の市民の周遊や学習へ展開する「まちづくり活動への接続」に議論が向かうキーポイント、及び活動や参加の輪の発展に向けた課題を整理した(中間取りまとめ)。すなわち、i.メンバー個人にとっての活動参加の意義・目的の敷衍・一般化と共有、ii.学習における内省的動機に加えて地域貢献的視点の導入、iii.活動を安心して展開できるための組織・資金等の基盤づくり及び行政・専門家による支援、等である。上記の議論のプロセスは途上にあり、本研究課題を1ヵ年延長し、数ヶ月の追加の参与観察調査を行った後、全体として包括的なプログラムとしての評価を行う予定である。なお、地域資源の勉強会等の「観光まちづくり学習」段階から、他者伝達行為や他団体との協働が通常化する「観光まちづくり活動」段階へ移行した段階で、本研究課題としての観察調査は終了し、次の研究課題へ移行することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参与観察調査の対象であるエコミュージアムづくり活動は、市民が主体的に議論を行い進めているため、本年度のうちに研究チームが想定している段階まで達するに至らず、データが中途半端になってしまった。従って補助事業期間を延長し、参与観察調査を継続して行うことによって、連続的・総合的に現象及び意識を把握でき、よりよい研究成果を得ることを目指すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、追加の参与観察調査を行い、「接続プロセス論」の包括的な評価を行い、本研究課題の取りまとめとする予定である。 また、北海道石狩市での調査に多大な時間を要したため作業が残っている他地域についての文献資料調査等についても完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、本研究課題で調査対象としている市民活動の進捗状況に鑑み、補助事業期間を延長申請し、承認を受けている。調査を遂行するために予算を確保する必要があり、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
参与観察調査を前年度に引き続いて行うため、調査旅費(東京→北海道)を計上する。また、成果の取りまとめ作業にあたり必要な研究協力者(RA)の雇用にも予算の計上が必要である。さらに、研究成果の論文投稿を行う際の投稿審査料・掲載料も支出する予定である。
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