本研究のこれまでの進行状況を踏まえ、平成26年度は平成25年度に引き続き、ウィーンとザルツブルクにおける「モーツァルト・ツーリズム」を研究の具体的柱としながら、観光政策を通じて浮かび上がるモーツァルト・イメージとの音楽国家オーストリアの相関関係について詳細な分析を展開するとともに、こうしたイメージ形成のあり方から演繹される今後の我が国のツーリズムに対する応用性や方法論の検討をおこなった。 特に平成26年度は、オーストリアの音楽界にとっての「モーツァルト・ツーリズム」の位置付けとモーツァルトの作品レパートリーの変容に関する相関関係等、文化史的コンテキストにおける「モーツァルト・ツーリズム」の検証をさらに推し進めると同時に、芸術・文化振興の観点から捉えた日墺のツーリズムの比較分析をおこない、モーツァルト・イメージ、オーストリア・イメージの形成から演繹される応用性に基づいたこれからの我が国のツーリズムに対する方法論の検討をおこなった。 方法としては、国内外の諸機関における資料の調査・収集を主とし、モーツァルト・ツーリズム関係の資料を多く有するウィーン楽友協会アーカイヴを主なフィールドとしつつ、さらにザルツブルク・モーツァルテウム音楽院等を利用した。 また上述の研究のために収集した文献・資料については、スキャン機能を搭載したデジタル機器を用いて電子処理をおこない、電子化された情報を円滑にプレゼンテーションできる環境の整備につとめた。
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