研究課題/領域番号 |
24611010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
丸山 奈穂 高崎経済大学, 地域政策学部, 講師 (60612603)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外国人街 / 観光地化 / 多文化共生 / 地域づくり / エスニックマイノリティ |
研究概要 |
本研究の目的は、地域政策の観点から外国人街の観光地化を捉え、群馬県邑楽郡大泉町のブラジル人街および大阪市生野区の韓国人街の観光地化がどのように日本人住民との相互理解、雇用促進、外国人のエンパワーメントといった地域的課題の解決につながるかを探ることにある。 本年度の前半はシンガポール、オーストラリア、アメリカなど海外における外国人街の観光地化に関する論文を精査した。観光地化にあたってどのような問題があるのか、また誰の視点からの問題が指摘されているのかに着目をした。また、群馬県大泉町で町おこしの一環として行われている多文化共生のイベントで調査を実施し、来訪者の動機やイベントの感想などを聞いた。日本における外国人街の観光地化に関する研究は数が非常に少ないため、調査は自由記述式で行われた。来訪者のなかには地元住民も多数含まれていたため、観光地化に関する地元住民の意見を聞くことができた。また、夏にはアメリカを訪れ、資料収集および類似の研究を行っている研究者との面談を行い、今後の研究に関する協力体制を作ることができた。 後半では、イベント来訪者への調査に加え、大泉町の住民(おもにビジネスオーナー)に個別インタビューを実施した。目的は、1)各人の観光地化への関わり方、および観光地化に関する賛成、反対を含めた意見を聞き取ること、2)今後の量的調査の実施を視野に入れ、アンケート調査に含めるべき項目を探ることの2点であった。本年度は7名から聞き取り調査を行い、今後も継続していく。また、大阪生野区のコリアタウンを訪れ、資料収集および研究打ち合わせを行い、今後の協力体制を築くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
面接対象者との連絡やスケジュール調整に予想以上に時間がかかり、予定していた面接に遅れが生じた。特に大阪とは地理的に離れていることと、観光地化に携わる地域機関が一本化されていないため、面接対象者の特定および連絡が難航した。また、計画当初に予定されていた観光者向けのイベントの開催方法に変更があったり、天候によっても観光者の動向に変化があったため、観光者観察の計画も変更が必要になった。資料収集に関しては概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の前半は、本年度に行った面接の分析とともに、ステークホルダーとの面接を引き続き行う。面接内容としては、観光地化に関する考え、観光地化してよかったことと問題点、今後の希望などについて聞く。一つのステークホルダーグループのなかでも、年齢や性別によってサブグループに分け、それぞれのグループから面接を行う。面接協力者を募るために、地域を定期的に訪れ、住民との信頼関係形成に努める。特に、大阪の韓国人街での面接に力を入れる。面接結果をもとに、ステークホルダー分析を行い、ステークホルダーの立場とグループ間の利害の対立を整理する。これによって、ステークホルダー間の連携の可能性や議論すべき点の提示が可能になる。 また、面接だけでは意見が聞ける人数が限られるので、より幅広い層の住民から観光地化に関する意見を聞くため、アンケート調査(量的調査)を行う。まず、次年度前半にアンケート票を作成する。質問事項は、本年度に行った面接結果および過去の研究を参考にする。アンケート票は、日本語、英語、ポルトガル語、および韓国語で用意し、様々な国籍の住民に対応できるようにする。アンケート調査は、次年度後半に生野区と大泉町の両方で実施する。 夏には海外事例の現地調査を行う。 次年度後半は、アンケート調査に加えて、生野区および大泉町の外国人住民との面接を実施し、観光地化に関する意見や民族意識について話を聞く。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、面接のための旅費、アンケート調査のための旅費および消耗品費、データ収集およびデータ入力など研究補助のための人件費、アンケートおよび面接の翻訳、通訳に対する謝金、海外事例の現地調査のための旅費を使用する予定である。また、図書や資料の購入にも使用する。
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