研究課題/領域番号 |
24611011
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
直井 岳人 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10341075)
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研究分担者 |
矢部 直人 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10534068)
倉田 陽平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50585528)
十代田 朗 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70226710)
飯島 祥二 琉球大学, 観光科学研究科, 教授 (80258201)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歴史的町並み / 観光空間 / 地元空間 / 印象評定 / 岐阜県高山市 / 外国人観光客 |
研究実績の概要 |
前年度は、訪問客が歴史的町並みでまなざしを向ける対象となる様相と、彼らの町並みに関する印象、及び町並みに対するロイヤリティの関係が論文として掲載され、同様の様相と町並みで満たすことのできた欲求との関係に関する今年度の海外学会発表が決まった。新たな調査としては、11月21日(金曜日)~24日(月曜日・祝)に、高山市を訪れる外国人観光客を対象に質問紙調査を用い、観光地としての魅力的空間と、地元空間に関する彼らの印象を基に、両空間の類似性と差異を明らかにする研究を行った。調査では、高山駅前観光案内所と、ご同意を頂いた外国人向け宿泊施設にて、外国人観光客に質問票を配布し、調査期間内に、いずれかの配布場所で調査員に渡すよう求め、173部を配布し、116部を回収し、109部の有効回答を得た。主な質問内容は、旅行形態(同行者、目的、大体の到着・出発日時など)、訪れた場所(最新のLonely Planet JapanとMichelin Japanに掲載されたスポット主から選択肢を作成)のうち、「魅力的だと思った場所」(魅力空間)、「住民の生活が感じられると思った場所」(地元空間)を最大3つずつ挙げ、その印象を評定(観光地化、歴史性、非日常性、全体評価に関する尺度)するというものである。分析では、評定平均値(全体評価以外)を因子分析にかけ、因子得点と全体評価との関係を回帰分析を用いて分析した。また、魅力空間、地元空間ごとに、スポットを因子得点を基にクラスター分析にかけ、クラスター間の評定平均値の一元配置分散分析及び多重比較を行った。その結果、魅力空間と地元空間には、挙げられるスポット(それぞれ古い町並みと朝市)に違いがあるが、両空間で、古い、観光地的な雰囲気が好印象につながる可能性が示され、両空間は、場所の特性は違うが、評価のベースとなる価値観は類似することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度に、高山市の古い町並みで「訪問客の地元の生活や住民との接触」に関する調査」を行う予定だったが、その前に、町並み内空間の観光及び地元空間としての特性を明らかにする必要があることが分かり、前述の「研究実績の概要」に示すとおり訪問客に、町並み内空間の印象評定を求める質問票調査を実施した。質問票調査の成果はあげることができたが、本来予定していた調査は平成27年度に行う必要性が生じた。そのため、本科学研究費助成事業の補助事業期間の1年延長を申請し、認められている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、「訪問客の地元の生活や住民との接触」に関する調査を予定している。ただ、文献レビューと高山市での関係者との話し合いを通し、このような接触に関しては、訪問経験直後の訪問客に、一定の時間を割いて咀嚼・後述を依頼することは難しい可能性があることが分かった。また新規に科学研究費助成金の内定交付を頂いた事業があり、エフォートとのバランスを取る為、現地での調査が難しくなる可能性がある。従って、高山市の古い町並みで調査をする計画を変更し、首都圏に居住者を対象に、、広い意味での町並み訪問経験に関する面接調査を実施することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の「現在までの達成度」で述べたように、「訪問客の地元の生活や住民との接触」に関する調査を平成26年度に実施できなかった。また、調査者及び調査地側の都合の為、2回実施を予定していた調査が1回となり、主に調査者旅費に関する残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた使用額は、平成27年度に実施予定の「訪問客の地元の生活や住民との接触」に関する調査の経費にあてる。高山市で実施する場合は主に調査旅費、「今後の研究の推進方針(次年度の研究費の使用計画)」で述べたように、首都圏の居住者を対象に実施する場合は、研究実費(協力者交通費など)として使用する予定である。
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