研究課題/領域番号 |
24611012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
岡村 祐 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (60535433)
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研究分担者 |
野原 卓 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (10361528)
田中 暁子 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所, 研究部, 研究員 (70559814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロンドン / ヨーロッパ / オープンハウス / 建築 / 公開 / 教育 / 欧州評議会 |
研究概要 |
本研究は、「市民参画型シティプロモーション」の一つである建築一斉公開行事「オープンハウス」に着目し、国内および先進事例としての欧州の動向把握による体系整理、詳細事例調査による技術的側面の解明や活動実態把握を踏まえて、成熟期にある欧州都市から萌芽期にある我が国への技術移転の可能性を検討することを目的としている。初年度である平成24年度は、以下の調査を実施した。 1.国内事例のリストアップ及び先進事例としての京都市「楽町楽家」の実地調査。リストアップ調査の結果、建物公開は、町家を対象とした京都や金沢のイベント、文化施設や公共施設の公開を主とした「オープンアーキテクチャ(東京)」の取り組みに限られることが明らかとなった。京都の事例では、各町家オーナーのホスピタリティ(特に会話)がイベントを魅力的にする重要な要素であることが分かった。 2.欧州におけるおける「オープンハウス」の二大潮流としての「オープンハウスワールドワイド(OHWW)」及び「欧州遺産の日(European Heritage Days)」の枠組みを解明するための文献調査や主催組織へのヒアリング調査。昨年度に予備調査として実施したオープンハウスロンドンへのヒアリング調査に続き、後者の取りまとめを行っている欧州評議会(ストラスブール)及びブリュッセルの主催組織に対してヒアリング調査を行い、理念や具体的な活動内容を明らかにした。 3.代表事例としてのロンドン、パリ、ブリュッセルのイベント時の実地調査。9月のいずれかの土日に開催される「オープンハウス」に参加し、各建物での開催状況や都市全体の様子について調査を行った。3都市ともに誘導、安全管理、接遇等の業務に携わるボランティアの存在が大きいことや、特にロンドンやブリュッセルでは、交通事業者との連携や他イベントの同時開催など、都市全体を楽しめる工夫がなされていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、平成24年度は以下の二点の調査研究を進める予定であった。 1.国内および欧州の「オープンハウス」の動向把握。 2.ロンドンおよびブリュッセルにおける「オープンハウス」のオペレーション技術の解明。 上述(研究実績の概要)のとおり、これらの目的は十分に達成でき、第一の点に関しては、国内の「オープンハウス」リストの作成、また欧州における2大潮流である「Open House Worldwide」及び「European Heritage Day」の実施スキームを把握することができた。第二の点に関しては、実地調査や主催者へのヒアリング調査を経て、公開建物の選別手法、活動支援、都市回 遊プログラム等を明らかにすることができた。 加えて研究成果については、国内では学会発表並びに専門誌への投稿(発行済み)、また国外においても学会発表(投稿済み、2013年6月参加予定)の機会を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、第一に、昨年度おおむね明らかにした「オープンハウス」の実施スキームに関して、イベントを国レベルで統括する組織と各地方(都市)レベルの主催組織との関係を詳細に解明する。特に、国家のまとまりが重視されるEuropean Heritage Daysでは、テーマ、予算、実施体制など、国と地方がどのような関係を構築し、イベントを企画運営しているのか明らかにすることは意義深いと考える。 第二に、英国ロンドンにおける「オープンハウスロンドン」を対象に、建物公開オーナーのモチベーション/イベントへの参加契機/参加前後の変化や参加による効果などを明らかにすることを目的に、オーナーへのアンケート調査を実施する予定である。最終的には、主催組織の理念がどのように各個人レベルに浸透しているのか、また近隣レベルへの影響があるかどうかという点に迫りたい。 第三に、国内の「オープンハウス」事例に関しては、複数の先行事例(東京や横浜など)に絞り、主催者へのインタビュー調査や講演などの機会を設け、理念、企画運営体制、イベント内容等を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、主に下記のとおり使用する予定である。 1.海外調査旅費 ・欧州における「オープンハウス」主催者へのヒアリング調査/ロンドンにおける建物公開オーナーへのアンケート調査 2.謝金 ・国内における「オープンハウス」主催者に対するインタビューあるいは講演に対する謝金
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