研究課題/領域番号 |
24611012
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
岡村 祐 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (60535433)
|
研究分担者 |
野原 卓 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (10361528)
田中 暁子 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所, 研究部, 研究員 (70559814)
|
キーワード | イギリス / ロンドン / オープンハウス / 欧州遺産の日 / 公開 / 所有者 / 都市ストック |
研究概要 |
本研究では、地域における建築物を一斉公開するプログラムである「オープンハウス」に関して、欧州を中心とした海外の先進事例と我が国の萌芽的事例を取り上げ、その実施スキームや具体的オペレーションを解明・比較し、地域における重要な資源(都市のストック)に関して、所有者自らの参画のもと、市民のアクセシビリティや認知度を高めるための方法論を考究するものである。 本年度は、まず前年度調査で得られた情報をまとめ、欧州における二大スキームである「オープンハウスワールドワイド」及び「欧州遺産の日」の概要に関して、ギリシャで開催された国際学会で成果発表を行った(Y. Okamura, T. Nohara and A. Tanaka(2013)。 新たな調査としては、英国ロンドンの「オープンハウスロンドン」において、自邸を公開しているオーナーへのアンケート調査を実施し、参加動機や「オープンハウス」への期待などを明らかにすることができた。また、英国オックスフォード及びノーリッジの主催者へのインタビュー調査を行い、英国における「欧州遺産の日」の実施スキームを補足した。 一方、国内における「オープンハウス」の開催状況の概要(目的、規模、市民参画の状況等)を把握するために、京都、金沢、横浜、東京、東京大田区、大阪の主催者を一堂に集めた公開研究会を開催した。これにより、日本型オープンハウスの特徴として、欧州のような強力なネットワークはないものの、各都市固有の都市・建築環境に関する課題にフォーカスし、明確な理念やビジョン(あるいは構想、計画)のもとで企画され、主催組織の専門技能を活かした保存再生事業との連動、観光事業としての経済性の追求、都市戦略の下での他プロジェクトとの有機的連携など、個々で独特の取り組みが行われていることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過年度調査により、国内外の「オープンハウス」の、特に主催者の側からみたフレームワークは、おおむね明らかにできている。特に、イベントマネジメント、コンテンツマネジメントの方法に関しては、ほぼ解明できている(学会・論文既発表)。また、建物公開オーナーの視点に立った調査も、平成25年度に「オープンハウスロンドン」を対象にアンケート調査を実施している(平成26年度論文投稿予定)。 最終年度における研究取り纏めに向けては、上記調査に関する精緻な分析及び補足調査が必要とされている。
|
今後の研究の推進方策 |
欧州型「オープンハウス」の二大スキームである「オープンハウスワールドワイド」及び「欧州遺産の日」に関して、その起源から波及までの全貌を明らかにするため、過年度の補足調査として、前者については欧州外での取り組みとして北米ニューヨーク等における事例調査、後者については1980年代から90年代における揺籃期の取り組みに関して資料調査やインタビュー調査等を行う。 国内事例に関しては、類例も含めて、実施スキームやオペレーションに関する調査を継続する。 最後に、研究の取り纏めとして、地域における重要な資源(都市のストック)に関して、所有者自らの参画のもと、市民のアクセシビリティや認知度を高めるための方法論としての「オープンハウス」の特徴を整理し、我が国における「オープンハウス」の定着、発展に向けての課題整理を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究対象としているイベントに関する実地調査(海外)を予定していたが、校務により都合がつかず実施できなかった。 平成26年度内に再度調整し、上記の海外調査を実施する予定である。
|