研究課題/領域番号 |
24611013
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
中谷 哲弥 奈良県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50285384)
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キーワード | フィルム・ツーリズム / フィルム・コミッション / 観光 / 観光社会学 / コンテンツ・ツーリズム |
研究概要 |
本研究は、今日、観光形態の一つとして定着しつつあるフィルム・ツーリズムに関して、主として観光社会学的な観点から国際的な実態調査と比較研究を行うことを目的としている。特に先進地における実態調査を主要な研究方法としている。 本年度は、引き続き文献調査に関しては、欧米で出版されているフィルム・ツーリズム関連の図書及び学術論文の収集を行った。現地調査については、8月にニュージーランドで実施した。ニュージーランドは映画ロード・オブ・ザ・リングとその続編ではあるホビットを通じて国を挙げて観光のアピールをしている。首都ウェリントンにおいては、政府観光局及び所管省であるビジネス・革新・雇用省を訪問してニュージーランドの観光政策やフィルム・ツーリズムに関する見解についてインタビューを行ったほか、映画振興を担う政府系機関であるニュージーランド・フィルム・コミッションと映画を通じた観光振興を担うフィルム・ニュージーランドの2つの組織においてもインタビューを実施した。また、ウェリントンにベースをおくフィルム・ツーリズム旅行会社が催行する映画ロード・オブ・ザ・リングのツアーに参加した。 ニュージーランドの最大都市であるオークランドでは一般的な観光地の訪問を実施したほか、オークランド南方のマタマタ市に設置されている映画ロード・オブ・ザ・リングのロケセットの展示施設ホビトンを訪問し、ツアーに参加した。各地への訪問に際して、適宜観光案内所やガイドへのインタビューを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、各種文献調査及びイギリスとニュージーランドでの現地調査をこれまでに実施することができた。特に、本年度はニュージーランドでの現地調査において関係機関へのインタビューを詳細に実施することができたことは大きな成果である。この2つの国の事例を比較するだけでも、国によってフィルム・ツーリズムに対する見解や施策が異なっていることが明らかとなった。ニュージーランドでは、国全体を映画ロード・オブ・ザ・リングの世界としてオーバーラップさせるイメージ戦略を採っているなど、非常に明確な施策が実施されていた。本年度はこうした現状について現地ツアー参加や施設訪問、インタビューにより詳細に把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度のイギリス、25年度のニュージーランドでの現地調査を踏まえて、26年度には米国での調査を実施する予定である。これまでの調査同様に、1)フィルム・ツーリズムの展開状況、2)地域の既存の観光システムにフィルム・ツーリズムがどのように位置づけられているか、3)フィルム・ツーリズムにおける観光経験の特徴、4)フィルム・コミッション等の諸機関の役割等を主な調査項目として設定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の「次年度使用額」が生じた理由は、現地調査の期間が必ずしも十分には取れなかったことが大きな理由である。 平成26年度分の使用計画については、文献調査においては図書・雑誌等の購入を行う。現地調査に関しては、米国への往復航空券及び現地での滞在費用、現地での資料収集のための支出を中心に行う予定である。また、次年度の米国での調査を経て、もし可能であれば再度のイギリスへの訪問調査の実施も検討している。
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