研究課題/領域番号 |
24611015
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
河本 光弘 札幌国際大学, 観光学部, 准教授 (50458147)
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キーワード | 免税店 / 消費税 / 国際観光 / 観光消費 |
研究概要 |
近年、我が国では観光庁の設立など「観光」を成長産業として位置づけ、2020年に訪日外国人観光客2,000万人等の目標を立てている。このように外国人観光客とその観光消費の増加が国内経済に与える波及効果は大きいと想定されているが、その消費の増減に大きな影響を与えることが想定される外国人旅行者の免税利用や免税店に関する我が国の研究は少ない。そこで本研究の目的は、国内外の免税店やその運営企業の実態、そこを利用する外国人観光客の観光消費行動等を明らかにし、外国人観光客への免税制度や免税店の存在が、外国人観光客などの消費行動にどのような影響を与え、将来、想定される消費税の高税率化(その度合い)により、どのような変化や課題等が生じるのか等をモデル化等し分析することにある。 国内において、欧米に比べ低い5%(2014年4月8%に移行)の消費税率でもアジアからの旅行者を中心に電化製品等を免税で購入する旅行者が多く、沖縄では沖縄振興法により国内旅行客も対象の大規模免税店(DFS)が那覇市内に開業し、再開発地域の核になっている。一方、我が国では他の先進国と同様に消費税率の高税率化(10%)が想定されており、国内外の旅行者の購買行動における変化が想定されている。 そこで、国内外旅行者の海外消費行動や免税店の現状を把握するとともに、消費税率と免税での販売動向等について各種モデルを構築し、その実態や関係性を明らかにするために、外国人旅行者の消費活動が、国内の経済にどのような効果を発生させているのか(消費額規模、付加価値額規模、雇用規模は大きいのか)や、海外において免税(店)制度やその販売規模、日本人購入比率等はどのようになっているのか等について、文献調査およびインタビュー調査等を実施し、その動向を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目で国内外の免税店の実態調査は順調に予定通り進行している。一方、それと並行して行う予定であったアンケート調査は、消費税の増税(5%から8%へ)実施や輸出物品販売所(外国人免税購買)制度の変更予定(2014年10月予定)もあり、その影響の有無を調べる必要もあり、2014年度に実施する予定である。それによって外国人旅行者が増加することによって、国内の経済活動にどのような効果が発生するのか(消費額規模、付加価値額規模、雇用規模の現況と、税率変化後の意向)等についての調査は、観光庁との連携事情もあり2014年度に実施する予定で、それによって外国人観光客の消費実態(商品分野、金額、場所等)、特に免税店(輸出物品販売所)における消費実態や意向を調査する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現状における経済に占める外国人旅行者消費の影響指標を明らかにするとともに、それらから外国人旅行者の消費による付加価値ベースの波及効果や雇用創出効果(想定雇用人数)をショッピングを中心に明らかにする(現状では消費額1.4兆円(H18))。また、それら外国人観光客1,000万人等や現状の2倍になった場合、1人当たりの消費額が変化した場合等のシミュレーションを実施する。これにより、場合によっては外国人の消費額が多くても実際上は海外ブランド品等の購入が多い場合には、想定以下の経済効果しか生み出されていない可能性等も検証する。アンケート調査で、データ化された外国人旅行者の免税(店)での購買データから外国人旅行者の免税購買総額、および主要品目別の消費推計を行い、それらの推計値から免税店での付加価値創出規模や雇用規模を推計する。また、消費税率の上昇がどのような影響を促すかについてモデル化する。増加する外国人旅行者に対し、免税消費の需要増加がモデルで明らかになった場合に、その影響を活かし、大規模免税施設の設置など外国人旅行者誘致に結び付ける方策やシンガポールやアムステルダムのように免税ショッピング利用トランジット(乗換)推進に向けた空港機能拡充やその他免税関連の観光支援方策の検討等を実施する。
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