研究課題/領域番号 |
24611019
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研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
高橋 進 共栄大学, 教育学部, 教授 (50360087)
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研究分担者 |
山崎 美惠 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (30258925)
山田 耕生 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70350296)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 持続可能な観光 / インドネシアランプン州 / 国立公園 / マングローブ林 / 伝統文化 / ランプンタピス |
研究実績の概要 |
最終年度の平成26年度には、前年度に実施したバンダルランプン市内の観光施設での利用者アンケート調査、マングローブ林沿岸地域住民に対する意識アンケート調査などの補足調査を実施した。また、アンケート結果の解析のほか、地域社会の生活状況調査、土産物販売店舗調査などを前年度に引き続いて実施した。 研究期間全体では、特に伝統的な高床式の家屋において、観光的価値や保存の重要性を認識しつつも、経済的事情により維持が困難で、老朽化が目立つ家屋も多いことが判明した。都市住民へのアンケート調査結果では、物見遊山型の観光よりも海水浴などのレクリエーション型のレジャーが志向されているが、持続可能な観光へのニーズも高いことが明らかになった。 また伝統的テクスタイル、特にランプンタピスは海外において高く評価されており、土産物も含めたタピス販売店舗数は1980年以降年々増加していることが明らかになった。近年では次第に広く着用されるようになってきており、ランプンでのテクスタイルの復興とその展開には、地元住民だけではなく外部からの刺激もあったと考えられる。 国立公園などにおける自然観光は、ランプン州ではスマトラ島内他州と比しても発展していないが、その対象となる資源は十分存在している。一方で、アンケートによる調査の結果、沿岸住民のマングローブ林への依存および保全意識は都市住民よりも高いことなどが判明した。 近年経済発展により観光開発が進みつつも、一方で自然や文化が急速に消失しているランプン州において、持続可能な観光を進めていくうえでの地域資源となる農村地域の伝統的家屋および景観が壊れつつあり、その維持や保存のための対策が急がれる。また、国立公園内野生生物のエコツーリズムへの活用、さらに、マングローブ林および伝統的なタピスなどの芸術工芸を、地域住民の意識と生活を尊重しつつも、観光に活用することも考えられる。
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