研究課題/領域番号 |
24611023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
清野 隆 立教大学, 観光学部, 助教 (70598200)
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研究分担者 |
三浦 知子 長崎国際大学, 人間社会学部, 講師 (30552690)
佐野 浩祥 立教大学, 観光学部, 助教 (50449310)
山田 耕生 帝京大学, 経済学部, 講師 (70350296)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 都市農村交流 / 東日本大震災 / 被災地支援 |
研究概要 |
本研究は、震災により被災した農山漁村において、震災後の都市住民による被災地支援が復旧・復興後の都市農村交流に発展する可能性を検討することを目的として、旧山古志村(2004年10月23日に発生した中越大震災により被災した新潟県長岡市内の山村集落)、小渕浜(2011年3月11日に発生した東日本大震災により被災した宮城県石巻市内の漁村集落)、南三陸町(東日本大震災により被災した宮城県内の漁村集落)を対象地に選定し、被災地支援と都市農村交流の実態を明らかにし、両者の連続性を検証する研究である。2012年度は、旧山古志村と小渕浜で地域住民、支援組織、行政へのヒアリング調査を実施し、被災地支援と都市農村交流の実態を部分的に明らかにした。以下、各地で明らかになった実態を概説する。 旧山古志村では、震災から8年が経過した現在、様々な形で都市農村交流が実践されている。このうち、震災発生から数年間にみられた被災地支援から継続しているものはわずかであることが明らかになった。具体的には、現在の都市農村交流は被災地支援を行った主体によって継続的に実施されているものは少なく、中越大地震の影響を少なからず受けているものの、復興後に新たに発生した都市農村交流の方が多いことが明らかになった。 小渕浜では、震災から2年が経過した現在、被災地支援が継続する中で、都市農村交流の試み、あるいは今後都市農村交流に発展すると推測される現象が発生している。具体的には、震災約1年後の2012年3月より、小渕浜への訪問、地元漁師との交流、地元漁師の指導を受けての漁業体験、地元水産物の販売などが断続的に実施されている。これらの都市農村交流の萌芽的現象は、いずれも被災地支援の延長線上にあることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は、当初計画した調査の大部分を実施することができたため、研究の達成度は高いと自己評価している。調査結果については、旧山古志村では、被災地支援が都市農村交流に発展したと判断できる現象は少数であり、研究を構想した当初に立てた仮説とずれが生じている部分もみられる。しかし、旧山古志村で生じている都市農村交流の全体像を把握することができたことは大きな成果である。「今後の研究の推進方針」に記すように、少数の事例について詳細な分析を施すことで、被災地支援から都市農村交流に発展する条件(あるいは発展しない要因)を明らかにすることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえて、旧山古志村、小渕浜での調査を継続する。また、南三陸町での調査を本格的に開始する。旧山古志村では、被災地支援から継続的に都市農村交流を行っている主体(市民組織、自治体、大学生など)へのヒアリング調査を実施する。小渕浜では、本年度と同様の調査を継続し、被災地支援と都市農村交流の事例を収集することで、その量的変化と質的変化を把握する。宮城県行政、石巻市行政へのヒアリング調査を行い、復興後の被災地における都市農村交流に関する計画や方針について把握する予定である。また、被災地支援と都市農村交流に参加している都市住民へのヒアリング調査とアンケート調査を実施し、都市農村交流における都市住民側の論理を把握する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた物品購入の一部(PCなど)を次年度に変更したため、繰越金が発生している。本年度は調査実施とデータ収集に重点を置き、PCを用いたデータの整理と分析を次年度に先送りしたためである。 次年度は、本年度と同様、対象地での調査を実施するため、研究費の多くは調査時の旅費として使用する予定である。これ以外では、調査協力者への謝礼を購入する費用、データ整理を委託する人件費、学会で研究成果を発表するために要する費用の使用を予定している。
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