本研究は、観光みやげの生産地と販売地が乖離する背景と要因について明らかにしたものである。観光みやげは経済的な商品であるとともに、地域文化を発信する媒体でもある。しかし現実の観光地では、生産地と販売地が乖離した商品が販売されている。本研究では、既存の観光研究における観光みやげ/スーベニア研究の理論を再検討するとともに、人類学における贈与交換をめぐる議論を参照し、日本の観光みやげの特性を考察した。その結果明らかになったのは、観光みやげには、真正性、贈与交換、儀礼的倒錯性という3つの基本要件が存在しており、いずれかを満たせば生産地と販売地が乖離していても観光みやげとなり得るということである。
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