本研究は観光地における高齢者のユーザビリティ向上施策の検討を目的とした.はじめに,ユーザビリティ評価方法として思考発話法を適用したモニターツアーを試行し,旅行環境のバリアの同定方法を確認した.次に,今後の後期高齢者の旅行動向把握のため宿泊観光データ分析から,貸切バス利用の加齢に伴う増加,性別による同行者の差が特徴として示された.利便性向上策に関する調査では,高齢者を含む移動制約者向けの観光ルートの提示,専門人材によるルート沿い観光施設のアクセシビリティ診断の実施,来訪前の旅行環境情報の提示により,ユーザビリティの有効性,効率,満足度を向上させている欧州の先進的な事例を把握した.
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