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2013 年度 実施状況報告書

旅行産業の国際経営

研究課題

研究課題/領域番号 24611029
研究機関流通科学大学

研究代表者

今西 珠美  流通科学大学, サービス産業学部, 教授 (70319896)

キーワード経営学 / 観光学 / 国際 / 旅行 / 海外進出
研究概要

本研究は、文化の影響を強く受けるサービス提供企業のグローバル化の可能性とその発展過程を明らかにしようとするものである。具体的には、異文化圏における日本の旅行企業の国際経営行動の調査、分析を行う。研究計画全体では、事前調査、国内調査、海外調査、事例の統合と結論の導出の4段階を踏む。
2年目の本年度は、株式会社ジェイティービー(以下、JTB)の国内調査(インタビュー調査)を実施した。調査結果は次の通りである。
外客誘致を設立目的とするJTBは、日本市場の急成長により重点市場を日本人市場に移行した。だが、同市場のその後の低迷に伴い、成長戦略の1つにグローバル戦略を掲げ、アジアを基盤とするグローバル・メジャーを目指す決定をした。2006年度のこの変革に伴い着手したのが、本国と海外拠点の接続関係の変更と海外進出方法の変更である。第1に、JTBはネットワーク型の企業グループを目指す。日本を中心に海外拠点を放射線状に配置する「スター型」拠点網から、中心を置かず相互の拠点が等しく繋がる「ネットワーク型」拠点網への転換を図る。国際旅行、海外旅行、三国間旅行を取り扱うべく、地域と事業(プロダクト)を2軸とするマトリックス組織を形成し、グローバル・コンフィギュレーションを構築しようとする。海外拠点のDMC(Destination Management Company)機能を強化し、各地域で展開する多言語着地型商品を統一販売する。SAMURAI PROJECTにより日本人社員を通じた現地人社員の教育・育成を行う。第2に、現地リソース取得による海外進出を推進する。海外拠点の設立においては、単独あるいは現地同業社との合弁を通例としてきたが、非同業を含む有力企業との合弁、提携、企業買収を相次いで実施している。JTBは自社流と現地流を組み合わせ、グローバル・プレーヤーとしての地位確立を図るのである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究課題に当該年度のエフォートの30%を配分できると考えていたが、予定していなかった社会活動が入り、結果として15%程度しか配分できなかった。また、研究協力を依頼したところ、承諾を得られなかった企業もあり、この点が進捗度に影響している。また、協力企業との日程調整の結果、調査の実施が後方にずれ込んでいる。

今後の研究の推進方策

本年度までに研究協力が得られなかった企業については次年度以降も粘り強く協力依頼を継続して行っていくが、あわせて候補企業の再検討も行い、協力企業の掌握に努める。新たに協力が得られた企業については、承諾が得られ次第、国内調査を実施する。当該企業の国際戦略と地域的位置づけ、各地域への海外進出状況(経緯・理由・状況・環境)を調査してこれまでの遅れを取り戻し、その後の海外現地調査に繋げる。また、本年度中に研究協力が得られ、既に国内調査を実施している企業については、海外現地調査に向け調整を行い、まずは夏季休業期間を利用して現地調査を実施したい。
現地調査では5項目、すなわち、①対象市場、②重視するサービス、③現地経営様式、④競争企業、⑤現地発ビジネスに重点を置き、調査を行う。調査地域は、アジア(例えば、韓国、台湾、香港、中国)、米州(例えば、アメリカ)、欧州(例えば、オランダ、イギリス、フランス)を予定しているが、この範囲に止まらず、協力企業が推薦する地域を調査対象地として取り上げたい。また、アジア、米州、欧州の順に現地調査を進める計画であったが、取り上げる順序にはこだわらず、先方と調整がついた地域から順次、着手することにする。尚、現地の情勢により、渡航が危険あるいは困難と判断される場合には、調査地の変更を行う。
国内調査・現地調査ともにインタビュー調査を実施するため、下調べを丹念に行う。現地調査でのヒアリングはできる限り日本人・非日本人に行い、双方の声を研究に取り入れる。現地調査後、各社または各地域の事例研究として結果をまとめ、それらを統合する。各地域における日本企業の国際経営行動の特徴を比較分析して共通点・相違点を明らかにし、旅行企業のグローバル化の可能性と方法を探る。

次年度の研究費の使用計画

研究の遅れにより、当該年度の実支出額が交付決定額を下回った。未使用額の主な発生理由は、海外現地調査の未着手、国内調査の実施回数不足である。
次年度は過年度までの研究の遅れを取り戻すべく、国内調査および海外現地調査を積極的に実施する。それゆえ、本年度の未使用額は、国内調査旅費および海外調査旅費として次年度以降に使用する。円安傾向の継続および消費税増税に伴い、研究計画作成時点よりも調査にかかる旅費および文献や消耗品の購入費が上昇する。継続して経費削減に努め、費用の上昇・付加費の発生に対応するとともに、過年度の未使用額を充填することとしたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 「日本の旅行企業における国際経営の変化-海外拠点への質問票調査の比較-」2014

    • 著者名/発表者名
      今西珠美
    • 雑誌名

      『流通科学大学論集 流通・経営編』

      巻: 第26巻 第2号 ページ: 55-74

  • [雑誌論文] 「旅行業の国際経営-海外進出のエスニック・モデル-」2013

    • 著者名/発表者名
      今西珠美
    • 雑誌名

      高橋一夫編『旅行業の扉』

      巻: 碩学舎(中央経済社) ページ: 51-74

  • [雑誌論文] 「日本の旅行企業の海外進出行動の変遷」2013

    • 著者名/発表者名
      今西珠美
    • 雑誌名

      『流通科学大学論集 流通・経営編』

      巻: 第26巻 第1号 ページ: 43-67

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公開日: 2015-05-28  

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