研究課題/領域番号 |
24611030
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅 広島工業大学, 工学部, 准教授 (70273464)
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キーワード | 観光学 / 歴史的市街地 / 交通行動 / 消費行動 |
研究概要 |
歴史的市街地における観光周遊施策の立案のための基礎的知見を得るために、歩行者中心の観光地を形成している宮島と、自動車と歩行者の混在が問題となっている高野山を事例として、観光客の属性の違いによる観光周遊の実態を明らかにした。宮島および高野山を来訪した観光客を対象に、個人属性等についてアンケート調査を実施し、GPSロガーを携帯してもらい周遊軌跡について把握した。 その結果、歩行者中心の観光地を形成している宮島の方が滞在時間、移動距離ともに長い傾向にあった。一方、高野山においては線状に広がる市街地であるために1つの周遊領域内の滞在時間と移動距離は短い傾向にあるものの、2つのエリア間の移動において約6割の観光客が徒歩で移動している実態が明らかとなった。また両地において、観光地内の歩行者環境の違いにかかわらず来訪手段(マイカーと公共交通)により、滞在時間と移動距離に差が表れることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例調査:前年度のスイスにおける海外事例調査に引き続いて、今年度はフランスにおける自動車を排除した街路空間の運用を行っている観光地の実態を把握することができた。 実態調査:前年度にデータ収集を行った宮島及び高野山の観光客の周遊行動データに基づいて、今年度は分析を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
事例調査:国外の事例としてドイツにおける観光地の事例の情報収集にあたる。 運用指針:平成27年度から高野山における新たな交通体系の実施に向けて、本年度までの研究成果を反映させる働きかけを行っていく。 実態調査:平成27年度から高野山における新たな交通体系が実施された際の交通実態調査の準備を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外事例調査の航空運賃が当初予定に比べて安価であったために未使用額が生じた。 物品費:現地調査およびデータ整理のための消耗品購入に使用する。旅費:研究成果報告のための学会参加旅費、現地調査のための旅費に使用する。人件費・謝金:現地調査補助のための謝金として使用する。その他:前年度未使用額を活用して、追加的な海外事例調査として、ドイツにおける事例の情報収集のための現地の研究者への委託費として使用する。また、学会発表の諸経費に使用する。
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