研究課題
本研究は、旅行者を対象とした情報推薦のための解析・推定手法の提案と、実証サービスによる検証を行うものである。観光地である愛媛・松山にて実証的に研究を推進した。まず、旅行者に有用な情報および情報サービスとはどういうものかという点について、調査を実施した。その結果、以下の点が明らかになった。1)地域コンテンツの網羅性の欠如、2)地域コンテンツの質的な不十分さ、3)提供者(地域)と受容者(来訪者)との認識のミスマッチ、4)行動選択に影響を及ぼす情報の乖離。1)は、特に地方の観光地においては、観光やその地域に関するコンテンツが不足しているという根本的な問題である。2)は、存在するコンテンツであっても、内容が時代遅れになっていたり、時季が合わなかったりと、使いものにならないという問題である。これらは、常にコンテンツの内容をアップデートすること、および、網羅的にそれらをカバーしていくことが求められていることになるが、地域でこれらの体制を維持することには課題も多い。3)は、地域側が「観光客が求めているのはこういうことである。」とか「うちの地域はこれが売りだ。」と認識していることと、来訪者が求めていることにしばしば不一致があるという問題である。リソースと需要のミスマッチを解消する必要がある。4)は、従来の情報推薦の方法論そのものに対する疑義であり、来訪者はしばしば「人が集まっていてなにやら面白そう。」とか「知人が勧めていたから」といったことで行動を決定する傾向があり、趣味や嗜好等に基づき個々に有用なコンテンツを推定し提示する「情報推薦」というサービスそのものに食傷感や忌避感などがあるということである。これらの調査結果を踏まえ、本研究では、旅行者が必要なコンテンツを直接的かつ即時的に捉え、それに対応するコンテンツを生成しながら旅行者の行動を支援する新しいサービスの形態とシステムを提案した。
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Distributed, Ambient, and Pervasive Interactions
巻: LNCS 9189 ページ: 557-567
10.1007/978-3-319-20804-6_51