研究課題/領域番号 |
24613002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00361387)
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研究分担者 |
畑田 出穂 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (50212147)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単為発生胚 / 腫瘍 / 再生医療 / ES細胞 |
研究概要 |
本研究は、移植医療に用いられる多能性幹細胞由来組織の腫瘍化をいかに低減するかを提示するものである。これまで、片親由来の単為発生胚由来ES(PgES)細胞は、正常胚由来ES細胞に比べて、分化させて移植した後の腫瘍形成頻度が劇的に低下することが分かってきた(投稿準備中)。一方、PgES細胞の中にも、高い腫瘍形成を示す細胞株が見られる場合がある。この腫瘍形成頻度の違いは、インプリント遺伝子のDNAメチル化状態と発現量の違いによると考えられる。個々のインプリント遺伝子の発現を制御することで、どの遺伝子が多能性幹細胞の腫瘍化に関与するのか明らかにし、移植医療に利用できる多能性幹細胞を開発することを最終目的とする。 当該年度は、PgES細胞の樹立と分化後の腫瘍形成実験を行った。マウス未受精卵を人為的に活性化させることにより、単為発生胚よりES細胞(PgES)を複数樹立した。樹立したPgES細胞をLIF不含ES細胞用培地で十分に(12日間)分化誘導させた後、ES細胞と同系統のマウスの皮下に1×10の6乗細胞ずつ注入し、一ヶ月後に腫瘍形成能を検定した。コントロールとして、正常胚由来のES細胞でも腫瘍形成実験を行ったが、多くのPgES細胞由来組織では腫瘍が出来にくいことが分かった。腫瘍形成の原因遺伝子の同定を行うため、形成した腫瘍からDNAとRNAを抽出し、凍結ストックとした。次年度では、これらのサンプルを用いて腫瘍形成に関わる因子の同定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、PgES細胞の樹立と腫瘍形成を行い、原因遺伝子特定のためのサンプルを整えることができたので、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
群馬大学同研究室の畑田出穂教授の協力によりマイクロアレイを用いた網羅的なエピゲノム解析(MIAMI; Hatada et al., Oncogene, 2006)をおこない高腫瘍形成株において共通したエピゲノム変化を明らかにする。腫瘍形成の違いによりメチル化に違いのあった遺伝子については、Bisulfite sequencingにより、確認を行う。また、メチル化の違いは遺伝子発現に影響を与えていると考えられるので、定量的に遺伝子発現量を測定する(qReal-time RT-PCR)。なお、上記の解析に必要な機器については、すでに当研究室にあるため、それらを使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、発現解析、メチル化解析など分子生物学的解析に用いる試薬等消耗品に主に研究費を割り当てる予定である。
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